堀之内出版の「ニュクス」なる月刊誌を買って読んだ。
2016年3月号で「マルクス主義からマルクスへ」の特集。
MEGAの編集にあたった佐々木隆治氏や斎藤幸平氏らが書いている。
いわゆるこれまでの「マルクス主義」は、マルクスが到達した本来研究から離れ、ソ連の政治イデオロギーとしての「マルクス・レーニン主義」とされてきた。
その流れは、マルクスの研究を労働者に普及しやすいように分かりやすくまとめたエンゲルスの著作、「空想から科学へ」などがその基礎となっている。そしてソ連崩壊とともに、その「マルクス主義」も誤りが明らかになり崩壊状態に至っている。
佐々木氏らは、MEGAの最新研究から、マルクスが研究したこと、あるいは途上だったことから本来のマルクスに迫ろうとしている。
その中心に「物質代謝」論、「物象化」論をあげ、光を当てる。
佐々木氏は、
「マルクス経済学は資本家による生産手段の私的所有に資本主義の基礎を見いだす所有基礎論へと陥り、資本主義的生産様式の力の源泉が、特定の労働形態がたえず産出する物象形態規定にある事は忘れてしまう」とし、「実践的には、この資本主義的生産様式の超克が、たんなる私的所有の収奪、さらにはその私的所有を背後で支える国家権力の奪取に還元されてしまう」(権力奪取したソビエト国家)
「資本主義的生産様式の力の根源を所有でではなく、それを成立させている物象の力に、さらにはその物象の力をたえず産出している私的労働と賃労働に求めるのであれば、労働の形態の変革こそ決定的な意味を持つ。アソシエイトした自由な諸個人が生産手段との本源的統一を回復する事によってこそ資本主義的生産様式を止揚することができるとマルクスが考えたゆえん」という。
「生産手段の社会的所有」のあり方について、現実の社会でどうするかは複雑で難解な気がする。世界中が国民国家の社会なので。