サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

エコロジーの経済史②「人間と自然」160年前に

 「壊されてゆく地球」-エコロジーの経済史-の続きです。

 「人間の活動が原因となって、地球の表面が月の表面と同じ位にひどい荒廃に陥っている場所がある。歴史的瞬間と呼ばれる短い時間の間に、鬱蒼とした森、緑の牧草地、豊かな草原で覆われていた地域が、今となっては人間に再生することが不可能なまでに荒廃し、大きな地理的変化が、我々の現在の知識では計り知れず、我々にはコントロールできる見込みもないような不思議な影響力や作用が無い限り、これら地域が人間の利用に適する状態にもどることは不可能な状態になっている。地球は急速に、その最も高貴な住民にとって不向きな住処となりつつある‥‥。こうした人間の犯罪や先を考えない行為がこの先も続くならば、生産力は落ち込み、地表はめちゃくちゃに荒らされ、気候は過激な変化を起こし、その結果、環境の悪化は、野蛮化、そして種の絶滅のおそれにつながるであろう」

 これはアメリカのジョージ・パーキンス・マーシュが「人間と自然」という本をに書いた一説。
 1864年マルクス資本論出版の3年前のことだ。(写真:ウィキ)
 驚くべきことに、現在の地球の状況を160年も前に予言している。この本「人間と自然」は、まだ読んでいない。

 マーシュの時代、19世紀は野生生物を絶滅に追いやる殺戮が行われた。
 西洋人が来る前には4000万頭いたバッファローは、食肉と毛皮製品のために1890年代には絶滅状態になった。
 もちろん先住民も殺され、西へ北へと追いやられていった。搾取と略奪は、人間にとどまらず、自然、生物種、生態系まで破壊し、ついには自らも破壊しようとし、止まらない。
 1756年、フランス軍と先住民インディアンが戦争があり、フランスは敗北した。
 後に大統領になったジョージ・ワシントンベンジャミン・フランクリンは投機家で、西へと土地を略奪していった。
 アメリカ合衆国建国の父とされているワシントンは将軍として、軍にイロクォイ族の全滅作戦を命じた。
 「直接の目的は、彼らの居住地を完全に破壊し廃墟と化し、年齢性別関係なしにできるだけ多数の捕虜を捕まえることである。また、現在植えられている作物を完全に駄目にし、また新たに植え付けることを阻止することが肝要である‥」
 わずか13年ほどの間に、先住民たちは全ての土地を奪われ、小さな保留地に追いやられた。
 アメリカ資本主義社会は、アフリカから連れてきた奴隷労働と先住民から土地を略奪した資本主義の「本源的蓄積」の上になりたっている。J・B・フォスターの言葉である。
 J・ワシントンは、多くに知られているイメージとは大違いであり、建国の血塗られた歴史を知るべきである。
 私もこの本で初めて知った。国内の社会主義共産主義者関連の本しか読んだことがないからだった。

ノーモア・ミナマタ第二次熊本訴訟

 今日、嘉島町で「ノーモア・ミナマタ第二次熊本訴訟・判決前総決起集会」が行われ参加しました。
 水俣病被害者や弁護団、支援者など400人が参加し、22日の判決に向けて盛り上がる集会になりました。
 天草からも知り合いがたくさん来ておられました。
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 10年にも及ぶ長いたたかいで、亡くなられた原告が数多くおられ、さぞかし悔しい事だろうと思います。
 あまりにも長期に及び、問題解決が遅れる日本の裁判の問題が浮き彫りになりました。
 昨年の関西訴訟が全面勝訴だったので、来週22日の熊本地裁判決でも同様の全面勝訴を勝ち取り、被告の国・県は控訴を断念し、和解で水俣病の最終解決へと進むべきです。
 来週の3月22日(金)が判決です。
 熊本地方裁判所熊本市中央区京町京町1-13-11)
   10:00 裁判所前集会
   10:30 入廷行動
   11:00 判決言い渡し 
   13:00 判決報告集会(熊本市国際交流会館)
www.no-more-minamata.jp
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 (下の写真は大阪や新潟東京の訴訟代表の連帯挨拶でした。一番右で、手配を終え退席中のマスクをして歩いている人は、熊本の事務局長さんです。斎藤幸平氏は、水俣を訪れ水俣病被害者と対談していますが、ぜひこの事務局長とも対談していただきたいと思っています。新しい視点を感じていただけるだろうと‥‥)

エコロジーの経済史-J・B・フォスター

 ジョン・べラミン・フォスターなるオレゴン大学教授の著書「壊されてゆく地球」-エコロジーの経済史-を読んでいる。
 「月次レビュー」-独立した社会主義雑誌-を主宰しているエコロジー派のマルクス主義者です。
monthlyreview.org

 サイトは英語だが翻訳されるので、精度はともかく大枠わかるのでとても便利。
 海外の文章が読めるなんて以前なら考えられなかったこと、ありがたい。

 この本は、1990年代に書かれ、日本語出版は2001年となっている。
 20数年前に書かれたにしては、現在に通じる内容で、知らなかったことを残念に思う。
「資本主義的生産が技術と生産の社会的プロセスの結合とを発展させるのは、同時に土壌と労働者という、すべての富の本来の源泉を害することによってのみ可能なのである」 
 など、なにせマルクスの晩年のリービッヒの研究なども紹介してある。
 
 もっとも、私が地球環境(人間)問題に関心を持ち始めたのは2006~7年頃。
 おそらく10年以上、様々な環境本を読んだが、マルクス主義者の環境本には出会わなかった。
 私が知らないだけだった。私の周辺も教えてくれなかった。
adayasu.hatenablog.com

 それで私は、この事態はマルクス主義者の怠慢だと長く思っていた。
 それから斎藤幸平に出会うまでは、マルクス主義者は環境問題に関心がないと思っていた。
 フォスターは、斎藤幸平のXに時々紹介されていた。
 アメリカにも優れたマルクス主義者がいて、地球環境問題でも、早くから鋭い論考を提起している。
 知っていれば、今に到達する私のマルクス主義的な地球環境の把握は、もっともっと早かったはず。
 知らなかった事を恥じるばかり。
 

「ブギウギ」朝ドラ

 今日の「赤旗」文化欄にNHK朝ドラ「ブギウギ」の載っています。
 寄稿されたのは、あだち しん さん。脚本ほ書かれた方。
 あまり「朝ドラ」なるものは見ないのですが、カミさんが楽しみにしているので、感染してしまい観戦。
 毎回、シナリオがうまくできているなぁと思いながら、見ています。
 
 今月で放送も終わりです。
 あだちしんさんの寄稿文も「終章」に向けて気持ちがこもっていて、役柄やストーリーへの愛おしさが伝わってきます。