サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

マルクスの未来社会論と生産力③


「経済」5月号、
 牧野広義阪南大名誉教授の
マルクス未来社会論と生産力」についての続きです。
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 第3に、今日の視点でマルクス主義を発展させるべきではないか、ということです。
 マルクスが生きていた時代は、資本主義が発展し始めた初期のころで、今日のように、資本主義的生産が地球を覆い惑星の限界とぶつかることなど予想もできなかったはずです。
 マルクスの生きた時代の世界人口は、13~15億人?、今は約80億人で、今世紀末を待たず100億人を突破する。
 一人ひとりが豊になり、物質生産、エネルギー消費、廃棄が増える。当然、全体として地球環境の負荷は増大して限界を迎える。すでに限界に達している。
 未来のコミュニズム社会になったとして、限界のある地球に200億人も300億人も、無限に人が住むことはできない。
 必ずどこかの段階で、人口も生産・廃棄も、惑星の限界内で定常化することが必要になる。その際に人間の欲望は、地球と自然の限界内に適用したもの、調和したものに発展しなければならず、その方向にこそ人の幸福感も発展する。
 それはマルクスの言う、『人間と自然の物質代謝』を共同で規制し、合理的に制御する社会に変わる。必要な労働時間を減らして、物質とエネルギーの生産を減らし、無駄もなくして消費も減らし、循環を減らし、余った時間で文化やスポーツや自然ほかにいそしむ。そんな持続可能な社会への方向性を、晩年のマルクスは示している。
 したがって今日のマルクス主義者は、マルクスの当然ながらの時代的制約をのりこえ、現在にふさわしくマルクスの研究を発展させるべきではないか。
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 残念ながら、これら地球環境の現状を踏まえない研究者が少なくなく、世界のエコロジカル的なマルクス研究に比べ遅れていると感じざるを得ない。
 だから斎藤氏と直接に議論をして、理論の発展に貢献してほしいのだ。
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 聴涛弘さんと斎藤幸平さんの対談。行きたかったなぁ。
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