サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

マルクス解体③ 希少性と潤沢

 マルクス解体の続きです。
 斎藤幸平は、富について→マルクスは、「ブルジョワ的富」に「協同的富」を対置し、未来社会の在り方を示している。
 私には理解が難しいのだけど、マルクスも、哲学的な考えは一貫しつつも研究を進めるに従い、変化・発展しているように思える。
 なので、生産力至上主義的な記述もあれば、物質代謝、自然的制約を意識した記述もあるようだ。
 能力に応じて、必要に応じて、で有名なゴータ綱領批判の一般的解釈は、生産力が高まり豊かになる事ばかりを構想しているようにみえる。
 しかし協同的富ならば、意図的に作り出された希少性の獲得を求める商品的、金銭的「富」でなくなる。協力しあった富、誰もが必要なものが潤沢に得られる富、であるならば、自然との関係性を考慮した豊かな社会になりうるだろう。
 ゴータ綱領批判の生産力概念が、質としても考えられるなら、なおさらだ。
 「『コモンとしての富』の潤沢さとは、社会の構成員の間で富と負担の双方をより平等かつ公正に分配することを目指して、共有し、協働すること」と斎藤氏はのべる。
 時としては、現在よりも生産性を低下させるかもしれないとしながらも、それでも個々の労働者の自由で自律的な活動を保障するので、それは社会的労働の生産力の「増大」にか数えられるという。なるほど。