サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

対米従属の謎③ 米国の「自衛隊活用」論

「対米従属の謎」(平凡新書)のつづきです。
 松竹氏の結論は、最後のあとがきにまとめてある。
 歴代自民党の「日本型核抑止力政策」が対米従属の根底にあるとし、鳩山政権は普天間問題で挫折し、民主党民進党)も抑止力の転換ができなかった。
 で、共産党は、自衛隊の活用を基本政策とすべきだとし、「自衛隊の位置づけを明確にできないが、国民の命には責任を負わないといけないと考えている」とし、民進党(当時)協議し、「新しい防衛政策と持って政権獲得の選挙に臨み」とある。
 気持ちがわからないでもない。だが、考えがたいへん甘いというか、国家権力の何たるかを忘れてしまったのか?というか‥‥。
 実際、民進党は党首選挙が勝った前原氏が解党して、小池「希望の党」に合流して失敗した。枝野氏が党立ち上げ、今の立憲民主党に変わった。
 日米の支配勢力は、必ず野党共闘を攻撃するし、分断を持ち込むし、その先頭にたっているのは労組の連合でもある。
 松竹氏には、わかっているはずだろうが、そういう分析は書いていない。
 「自衛隊活用論」にこだわり続けているが、私には愚かとしかいいようがない。
 支配勢力、主要メディア含め、「外国から攻めてこられたらどうするか?」という問いは、軍拡のための意味のない質問だ。これに踊らされている。

 ソ連が攻めてくる、北朝鮮がミサイルを撃ってくる、中国が攻めてくる。という脅しだ。だから「自衛隊は必要で活用だ‥‥」
 松竹氏は、理解していないはずはないが、日本に米軍基地があって、米軍が同盟国の基地から先制攻撃を仕掛けてくるかもしれないから、中国もロシアも北朝鮮も抑止力をして核を持ち軍備を増強している。
 近隣の他国に米軍基地がなければ、自分の国に向かってくる軍隊がなければ、北朝鮮にも抑止力は必要ない。韓国と戦争するつもりはなく体制保障が最大の思いだからだ。
 核抑止力なら、核大国の本国VS本国、自国民の犠牲覚悟でやってくれ。米国は大洋の向こう側だ。
 日米安保以来、日本の現実な戦争の危機は、米国の攻撃的な基地を置いているがためだ。
 海に囲まれた日本を攻撃して上陸占領できる国は、まずありえない。やれたのは米国とソ連だ。
 そのソ連も単独ではなく、「プロジェクト・フラ」によってできた。右翼のみなさん、よ~く知っててくださいね。
 敗戦時、千島列島がソ連に上陸占領されたが訓練し、計145隻の艦船を無償貸与して後押ししたは、事もあろうか米軍だ。
  (プロジェクト・フラ)
 ja.wikipedia.org
 海を渡って「どこかの国が攻めてくる」なんてありえず、着実に準備され現実に進行している危険こそ、松竹氏は直視すべきではないか。
 仮に尖閣諸島が中国に占領されたとして、自衛隊が奪還しようとする場合、もし米国が国益の判断があり「やめておけ」となれば、日本の自衛隊は動けないだろう。それが対米従属、主権放棄だ。
.
  主権者日本国民の「自衛隊活用」ではなく、米軍による、「自衛隊活用」論が進んでいる。
 米軍指揮統制下の自衛隊は、場合によっては総理大臣の命令さえ上手に無視する可能性がある。
 日本がどこかの国とトラブルになった場合、自衛隊は反撃しようとするかもしれないが、米軍に政治的軍事的な判断で、「やめておけ」と言われれば自衛隊は動けない。
 米軍指揮統制下で自衛隊が自国のために、必ず自由に動けるというのは幻想だ。米国の利益にかなう時だけだ。台湾めぐる米日VS中戦争の場合、米本国への核戦争エスカレートは避けながら、中国に打撃がでた時点で停戦するだろう。その時日本まメチャメチャだろう。
 対米従属の謎をこれほど解明しながら、IAMDに組み込まれる日本の心配もしない。
 アセアン諸国の動きに注目し、連携や共同も提起しない。中国との対話の方策も考えない。
 それら現実的な危機を警告し、現実的な平和への提案しているのは誰か?
 共産党の志位さんだ。