松竹伸幸氏の「対米従属の謎」(平凡新書)のつづきです。
第4章の「平和が戦争下の決定権がアメリカに」のところもなかなか良い事が書いてあります。
金門・媽祖事件というのは、知らなかった。いわゆる第二次台湾海峡危機と言われるもの。
冷戦下、朝鮮戦争など色々いきさつはあったようですが、中国側が大金門島・小金門島に砲撃を行い戦闘が行われたことがあった
米側は、第7艦隊の空母7隻を台湾海峡周辺に派遣し、中華民国軍への物資補給を支援し、空軍、海兵隊、陸軍の3軍の共同演習を行って中国人民解放軍側に警告した。
この時、空母はどこから来たかというと、日本の横須賀。
もし中国が引き下がらず米中戦争になっていたら、中国は米軍の出撃基地である日本を攻撃せざるを得なくなる。米側には、核兵器使用の検討すらあった。
米軍の出動によって、場合によっては日本が米国の戦争に巻き込まれる危険性が出てきた。そこで岸内閣は新安保6条で、米軍の部隊の重要な変更は「事前協議」がされることになった。
もっとも密約があって実行性が伴っていないが。
松竹氏は、「事前協議」と「密約」によって日本政府は、「台湾であれどこであれ、この地域の平和は日本の安全にとって重要なのであり、しかも平和のために軍事行動するかどかの『判定』するのはアメリカであって、日本はそれと違う態度をとらない」「日本の平和を願えば願うほど、アメリカの軍事行動を支える事が大事だ」となってしまっていると解説する。その通りと思う。
「事前協議」---しかしそれは政権しだいだ。自民政権ではできない。
南西諸島~九州に至る地域が戦場となるなら、国民世論に押された新しい政権なら、公式に米国に事前協議を求め、日本の安全を脅かすとして、米軍出動も自衛隊出動も断る事もできるだろう。
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ただ、思う事がある。
松竹氏は、アメリカの軍事行動を支えるのは、何かについて書いていない。それは自衛隊。
米国の戦争のために、在日米軍基地が使われるだけではない。
密約によって、米軍は自衛隊の指揮・統制権までも持ち、自衛隊を動かすことになっている。
今や密約は合同訓練で実動を可能にし、バイデンとの会議で岸田首相は、それを公然とさせ、大きな世論の反対もなく普通にしてしまった。
自衛隊「合憲論」の松竹氏は、米軍指揮統制下で、日本国民の安全よりも、米軍の利益によって動く自衛隊をどう説明するのだろうか?
松竹氏は、「自衛隊活用論」について様々議論をしている。
それはよくある「窮迫不正の侵害」への対処を理由としている。
だが、現実に進行しているのは、米軍による「自衛隊活用」論ではないか。
米軍は国益のために、「窮迫不正の侵害」を作り出そうとしている。日本でも世界中でも。
「シン・日本共産党宣言」では、「日本の防衛政策は専守防衛とアメリカの抑止力との組み合わせ」だと主張している。
これを日本共産党の政策にするため党首公選制を求め、党首として日本共産党の基本政策にしようという。
「対米従属の謎を」書いた2016年からも大きく変わってしまった。なんだろうか?