サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

ゼロからの「資本論」

 斎藤幸平氏の「ゼロからの『資本論』」を読んだ。新書版でもあるが、わかりやすく書かれている。
 そうですね、資本論の文章を「正確」に解説するというより、現代の視点から見れば、マルクス資本論が言いたいことは何なのか? といった観点に思える。
 なのでマルクスの「物質代謝」論を展開し、労働者の搾取だけでなく、自然の掠奪・搾取も視野にいれ、地球環境問題の関連でも資本論を展開している。これまでの資本論本にない、新しい視点。
 さらに、未来社会⇒ コモン・社会についての言及も面白い。
 現在の中国を国家資本主義と規定、これは私の考えと同じ。旧ソ連も資本主義国に入れる。
 資本主義以前の共同体に視点を向けたマルクスに注目し、その考えを紹介する。
 また、使用価値生産の重要性も展開する。今日、ありとあらゆるものが商品として生産され、疎外が起きる問題も具体的に現実を示しながら指摘する。使用価値の生産物である富の重要性についても光を当てる。

.
 この本は、資本論を読むとっかかりになれる。しかも旧来にない新しい視点、自然・地球環境を含む現代の現実課題に通じることとしても大変重要な示唆をしている。読みやすい。おすすめです。
 マルクスの晩年の研究、つまり集大成として、現代に通じるそんな壮大な視点があった。