サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「アメリカは日本を守らない」⑨「捨て石」へ主権放棄

 「アメリカは日本を守らない」--米軍最強という幻想--のつづき、最後です。
 北村氏は第二次大戦後の島しょ攻防戦を表にまとめておられる。
 多くは、島しょぼ防衛側が失敗し、攻撃側が成功している。
 日本も、大戦初期の島しょ攻撃時には成功し、防衛側が失敗、逆に大戦後半、日本が守る場合は失敗となっている。
 この結果からは、とうしょ防衛の困難さがうかがえる。
 ただ、相手側に膨大な犠牲を強いる事は可能で、攻める側は、膨大な兵力と物量がないと最終的な成功もおぼつかないだろう。
  
 そこで、米軍海兵隊が行おうとしている「海兵沿岸連隊」について、上記の結果などから見て、成功的なのか?内部では議論も起きているようだ。
 遠征前進基地作戦だが、相手国のミサイルなどの射程距離内に入り込んで戦うため相当な犠牲を伴う可能性がある。
 相手側にとっては、敵が懐に入ってくるような脅威だから当然、相応の準備をし、対処をすることになる。
 米国の陸軍、海兵隊も日本などの島しょに移動式の地上発射ミサイルを配備し、あるいは島々を移動しながら中国側を攻撃する作戦だ。
 中国は重大な脅威として対処するし、戦場となる島しょ、また中国や台湾など相手国の戦闘地域も、民間人も重大な被害を受ける事になる。
 もちろん米国民は、安全だ。まちがっても、米国はそんな作戦はしない。
 中国との戦闘になったとしても、域内にとどめ、米本土に及ぶようなことは絶対にしない。
 その可能性があった場合、早々に撤収してしまえばいい。彼らにしてみれば、日本は捨て石なので。利用価値がなくなったらポイだ。
  ウクライナ戦争を続けるロシアのように、中国が戦争で疲弊してくれたところで、「手打ち」し、停戦に持ち込む。米国の覇権国の地位は譲らずに済む。
 日本‥‥? 米国の国益が優先する。常識だ。
 米国は建国来、先住民の虐殺と追い出しや他国侵略戦争を繰り返してはいるが、本国を戦場にしたことはない。
 米国国民の戦場体験はなく「正義」のための兵士の犠牲に悲しみと誇りが入り混じるだけだ。。
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 岸田首相が訪米し、バイデンと会談、米軍と自衛隊は一体化し、指揮権を米側に渡す約束をした。これまでも指揮権密約があったが、今回それを公然化し、主権者国民も無理解のまま受け入れた格好だ。
 日本には、本来の民族主義がない。あるのは大日本帝国の郷愁、アジア人蔑視で、矛盾も感じないで対米従属にいそしんでいる。
 日本は、先の大戦で歴史上はじめて戦場と占領を体験し、「大和魂」の誇りも捨てさり、見事に占領を受け入れて支配を内面化している。
 希望は、アセアン諸国の動き。中国にも、米側にも、対等、等距離を保とうとしている。
 南シナ海を囲む国々のその努力がある限り、台湾めぐる米中戦争はないだろう。最大の当事者となる台湾は、独立志向は強めず、最大限戦争は避けるだろうし、バシー海峡という大事な位置にあるフィリピンも同じだろう。
 中国だって、武力による統一をし、双方に多大な犠牲が出て失敗すれば、習近平政権の破綻に繋がり安易な事はできない。
 戦場当事者になる日本の自民党政権だけが、前のめりで、自ら「捨て石」になろうとしている。
 主要メディアも同様だ。
 主権者は、事態を認識せず、主体的にならず、主権を放棄しようとしている。

 ともあれ、この本はいろいろを学びになりました。全面的ではありませんがお勧めです。