サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

マルクス解体②「富」の概念

 斎藤幸平の「マルクス解体」の続きです。
 マルクスは、「資本主義の的生産様式が支配的に行われている社会の富は、一つの『巨大な商品の集まり』として現れ、一つ一つの商品はその富の基本形態として現れる。それゆえ、われわれの研究は商品の分析から始まる」--有名な資本論の第一巻一章「商品」は、先のように書いている。
 若い頃、東京学習協で1年程、週1回の資本論講座に通ったことがある。記憶では、商品について、使用価値と価値の話から始まった印象で、富についての解説の印象はなかった。
 斎藤氏、主語は商品ではなく、社会の富、ということになると。「富」は労働生産物の「素材」的側面であり、「商品」は、その「経済的形態規定」として現れる、とする。
 今の資本主義の社会では、「富」とは裕福で、お金や不動産を多く持つことされているが、本来の「富」は、自然や芸術、文化、自由な時間などもの含む「豊かさ」を表すはず。
 ここには、資本主義の「富」イメージが深く社会に浸透しきっている実態がある。
 なるほど、なかなか気づかない事。
 で、その「富」は、物質代謝--自然との関わりがあることを自覚すべきだろう。