サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

マルクスの未来社会論と生産力①

「経済」5月号、牧野広義阪南大名誉教授が載せている「マルクス未来社会論と生産力」をおもしろく読んだ。
 牧野氏は、斎藤幸平氏の「脱成長コミュニズム」に対し、マルクスの「生産力」論は、こうですよと展開している。
 なるほど「生産力」についてのマルクスの考えが整理されていて勉強になった。
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 ただ、マルクスの「生産力」について牧野氏の考えは、斎藤氏の様々な対談や動画を見ると、大きな差はないと感じる。
 以下、3点にわたって考えを述べてみたい。

 第1に、そもそも斎藤氏は、「脱生産力」とは言っておらず、まずは現在の資本主義下の大量生産廃棄の経済システムの「脱成長」を唱えていると思う。
 つづいて彼が言うコモン型社会に移行したら、生産力は物質生産量の拡大ではなく、質的な発展ととらえていると思う。それが「脱成長コミュニズム」論だと考える。
 というのは、地球は丸く境界・限界があり、その中での無限の生産拡大はありえず、現在においてもその限界に達しているからである。
  せっかくなら、マルクス研究の先輩として、斎藤氏の著作や発言など多くを読んで、論及してくれるといいのにと思う。残念ながらそれは、「人新世」に言及していない事に表れている。互いのマルクス研究発展のために。(読んでおられたら失礼)
 つづく。