サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「人新世」と唯物史観

 新聞広告に出ていた「人新世と唯物史観」。著者は友寄英隆氏(本の泉社)。
 広告紹介には、「人類の活動が地球環境を壊す新たな地質年代として提起された『人新世』をめぐり、生産力の発展にストップをかけるべきという議論は、唯物史観と相いれないと批判」とある。
 これは「人新世の資本論」の斉藤幸平氏の批判である。先に雑誌「経済」展開している内容と同じと推察できるから。
 紹介は、ズバリ彼の名前を出して、問題と思う箇所を示して、批判を展開すればいいものを、なぜか伏せている。これは姑息と思われてもしかたない。マルクスなら堂々たる議論を望むと思う。
 「生産力の発展にストップをかけるべき」との意見は、斎藤氏の「脱成長」論を指していると思うが、その認識にはかなりの思い込みがあるのではないかと思える。
 友寄氏の「唯物史観」の解釈は、私も若い頃から習ってきたものだが、人類が引き起こしている地球環境問題に、真に解決策を与えるものでなければ、唯別史観に、新しい解釈を成り立たせてもいいと思う。議論こそ求めたい。なぜ?避けるのか?
  私が習ってきた唯物史観が、惑星的な「物質代謝の亀裂」の危機においても理論的発展の機会を逃し、場合によっては「空想的唯物史観」留まるとしたら残念な事だ。しかし、それは、それぞれ個人の責任である。誰から教えられたから、誰から学んだは、理由にならない。
 「人新世」と唯物史観、2000円でもあり買う価値があるかどうか迷うが、「経済」上下で示された程度の論考ならやめておこう。
 斎藤氏の「大洪水の前に」や最近の動画や対談など、かなりのものを読み込んでの批判なら学べるものがあるかもしれない。
adayasu.hatenablog.com

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 残念ながら同新聞媒体に「人新世の資本論」の広告は出されていない。

 追記→ 「搾取」について、こんな論考もある。 EXPLOITATION=搾取は人の搾取の意味だけではなく、自然の搾取の意味もあるようだ。知らなかった。
マルクスにおけるエコロジー経済学の萌芽