サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

ショック・ドクトリン ①精神科医の拷問

f:id:adayasu:20200328195029j:plain:w170:right ナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」、(上・下)で5000円もするので買うのをためらっていた。やがて10年も前の本なのに中古本も安くない。やっと(上)だけ買って読み始めた。引用しながら紹介する。
 「惨事便乗資本主義」として、当時のブッシュ政権が9.11のショックを利用して、イラク侵略や人権蹂躙の法律を作ったことなどは知っていたが、読み始めると、1章は、まさにショックだった。
 アメリカ精神医学界、世界精神医学界の会長を務めたユーイン・キャメロンという男が患者を使って「精神誘導」いう実験をカナダで行った。
 キャメロンが論文で「単に時間的・空間的イメージが消失するだけでなく、すべての感覚が消えてなくなる必要がある。この段階で患者には、他のさまざまな現象が現れる場合がある。たとえば第二言語が話せなくなったり、自分の結婚歴も忘れてしまうなど。さらに進んだ形として、支えがなければ歩けない、自分で食事ができない、大小便の失禁などがある。(中略)記憶機能のあらゆる側面が大きく阻害されるのである」と実験の成果を書いている。
 患者が考えたり話したり人間らしい行動ができないようにするデパターニング(非パターン化)のため用いるのが電気ショックだ。(ある患者には1日2回、30日間で360ショックを与えた)
 さらに神経刺激剤や鎮静剤、幻覚剤ほかたくさんの薬物を投与して患者を混乱させデパーミングに陥れる。また「睡眠室」に入れて薬物で患者を1日に20~22時間も眠らせたり、食事とトイレの時間におこす時も時間帯をずらしたり、食事も朝食と夕食の内容をバラバラにして時間感覚がマヒするようにした。
 こうやって人格が消去されたあと、「あなたは良い母親であり妻で、皆あなたと一緒にいることを楽しく思っています」などという録音テープを繰り返し聞かせ精神誘導をするという。1日に16~20時間、何週間も繰り返し録音テープを聞かされる。
 これらの研究には多額のCIA資金が使われた。当然、その後、イラクやアフガンでCIAに捕らえられた人々の尋問・拷問に使われた。
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 この本のテーマは「惨事便乗型資本主義の正体を暴く」だから、災害やテロなど、社会がショック状態に付け込んで支配者が行う事を暴く事だ。コロナパンデミック禍、何かが動いているのかもしれない。