サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

 ショック・ドクトリン⑪

 ショック・ドクトリンのつづきです。
 最後に登場する国家はイスラエル
 イスラエルは、パレスチナや周辺国を抑圧してきたが、その都合のよい理屈は「テロとの戦い」だった。ブッシュ大統領がアフガンやイラクで行った侵略のカモフラージュと同じだ。
 これらの過程の中でイスラエルは、ネットやハイテク関連、監視装置や武器、セキュリティー関連産業を発展させ、各国にも輸出して経済成長を実現させている。
 武器輸出は、2004年にイギリスを抜いて世界第4位になっている。
f:id:adayasu:20200328195029j:plain:w170:right 本来、戦争を始めると民生品が高くなり、国民生活は落ち込んでいくものだが、戦争・紛争依存の経済を確立し、経済成長が続いているという。
 もちろん企業は、武器とセキュリティ関連商品で利益を上げているが格差は進んでいる。
 つまり経済成長のために、紛争も戦争もテロも必要という構造になり、イスラエルはそんな外交を貫いている。
 そんなイスラエルハイテク技術を支えたのは、旧ソ連崩壊のロシアショック・ドクトリンの影響で逃れたきたユダヤ系ロシア人の入植らしい。旧ソ連の軍事技術者が多く入ってきたという。
 .
 ナオミ・クラインは最終章で、ショック・ドクトリンを実行してきた多くの人間たちが、汚職や犯罪事件で逮捕された事例を紹介している。また2006年、ミルトン・フリードマンが亡くなったあと、中南米への左派政権が生まれ、新自由主義から抜け出そうとする動きも紹介し、締めくくっている。
.
 この本は10年前、2011年9月に出版されている。世界的なベストセラーだったのに、なんでもっと早く読まなかったのかと、自分を悔いている。