サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「ショック・ドクトリン」⑤フォークランド戦争とサッチャー

 久しぶりに「ショック・ドクトリン」つづきです。
 今日、日本を含む先進国にまで、ミルトン・フリードマンの「新自由主義」路線が定着し、格差と貧困の拡大など問題が山積した。しかしその転換には、なおも時間がかかっている。
f:id:adayasu:20210129221248j:plain:w270:right CIAがらみの軍事クーデターショックは、チリなどの途上国に適用されたが、民主主義が定着している先進国に適応されるには、ショック・ドクトリンの発展があった。
 フリードマンとイギリスのサッチャーは親交を深め、チリのピノチェト独裁政権とも交流を持っていた。
 さすがにイギリスでのクーデターは国民の反発を買い成功しそうもない。
 フリードマンの「新自由主義」を実行しようにも一口が見つからず、サッチャー政権の支持率は急低下していた。その矢先、ショックはおとずれた。
 1982年4月、イギリスが実行支配するフォークランド諸島にアルゼンチンの軍事政権が侵攻した。
 戦争が勃発すると、双方の国民は民族主義を煽られ興奮状態となる。イギリス軍255人、アルゼンチン軍655人の戦死者を出し、イギリスの勝利でフォークランド戦争は終わった。その後、サッチャー政権は支持率が急上昇、翌年の選挙で大勝利した。
 サッチャーは、アルゼンチンとの戦いの延長線上として、内なるたたかいへと向かう。1984年に起きた炭鉱ストの弾圧だ。負傷者は数千人に及んだ。
 つづいてサッチャーは、通信、ガス、航空、鉄鋼などの国営企業を民営化し、新自由主義へと突き進んでいった。
 日本でも、国鉄の分割・民営化、電電公社の民営化、郵政の民営化など、公営・国営企業が「官から民へ」「民間活力」と宣伝され「新自由主義」が徹底された。その結果、格差と貧困、非正規労働など、現在の深刻な社会状態に陥っている。
 それだけではない。地球環境の破壊という深刻な事態を招いている原因も、新自由主義によるグローバルな利潤追求の結果だ。
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  ショック状態にどう対応するか?
 1930年代の株式暴落・世界恐慌の際、ケインズたちは「ニューディール」という政策で対応した。
 この解決策への対抗として、フリードマンと企業化らは「ショック」の悪意ある適応を学んだ。(写真ウィキペディアより)