「毎日」新聞に、斉藤幸平さんが現場を歩き、新しい社会のあり方を探る連載がある。
2/1付けは「若者が起業 猟、解体 ジビエ業の現場」と題し、資本主義と商品経済の問題点を示し、考えさせられる内容だった。紹介したい。
龍谷大学3年生の3学生の起業は、京都の笹置町での猟と解体、販売。3人のうち1人は女性で、解体作業も行うというから驚きだ。
斉藤さんも猟に同行し、罠にかかった雄鹿を軽トラにのせ、解体するまでの作業に立ち会っている。
解体される鹿にガムテープで目隠しをする。血をサラサラにするため水で体を冷す。頸動脈にナイフを入る。鹿は一瞬痛ましい悲鳴をあげる。すぐに動かなくなる。心臓は動いているから血はあふれ出てくる。放血したら、つるして切り裂き内臓を取り出し、皮をはぐ。筋膜を取る。全行程3時間。
酷い思いもするが、本来であれば、
私たちが肉を食するということは、これらの重苦しい殺す作業を他人に分業として依頼していることになる。ゴキブリ一匹に悲鳴をあげる私たちは、1年間に何匹の動物を殺しているのだろうか。途方もない「偽り行為」ではないのか…。
日本での食肉産業。狭い囲いの中に閉じ込められ、糞尿と抗生物質にまみれ、過剰に成長・太らされ、短い一生を終わらせられる動物たち。年間に8億2000万頭・羽だそうだ。
学生らが考え行動し始めたのは、駆除され放置され異臭を放つ鹿の死体が山のように積まれた状態に接したからだ。殺されたならせめて、大事に食されなければ…。の思いからだ。
地球上で一番増えているのは人間だが、人間のせいで増えた野山の害獣たちは、大半が駆除され埋められる。鳥インフルや豚コレラ、狂牛病が流行れば大量に殺され埋められる。なんとも身勝手で残酷な人間。
斎藤さんが経済思想の学者でありながら、こんな現場に立ち会い自身の考察を広げていく。
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昨日放送のNHKの「飽食の悪夢 水・食料クライシス」。
今日の飽食は、地球と生態系の負荷を蓄積し、潜在化しているだけだ。あまり目に見えず、科学者が繰り返し警告していてもその深刻さに気づかず、また知ろうとしない。
遠くないいつの日か、一気に矛盾が噴き出す時、私たちも悲鳴をあげるだけで、どうしようもない状態に置かれるだろう。私たちのせいで増えたのに、私たちによって駆除される動物を同じ運命…。
地球システム崩壊の蓄積をやめ、回復が必要、急いで。 そうならないように。
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