サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

核にかかわった元軍人「抑止は幻想」

 毎日チェックしている「毎日」の「記者の目」―昨日は−國枝すみれさん
 元軍人ら「抑止は幻想」  −核兵器禁止条約を取材して
  衝撃的だ。私も改めて、隠された現実を知らされた思いだ。
 國枝記者のインタビューから引用・紹介したいのは、核兵器にかかわった軍人ロバート・グリーン氏(73)の思い。
「彼は英海軍の中佐から反核活動家に転じた人物だ。1960〜70年代、訓練で核弾頭を搭載した爆撃機や対潜ヘリコプターに搭乗したことがあった。ヘリの速度は遅く、爆弾を投下したら爆風に巻き込まれ、自分も死ぬ。『まるで神風(特攻隊)じゃないか』と上官に抗議すると、『核を落とすことなどあり得ないのだから心配するな。そんなことを問題にしたら出世できないぞ』とクギを刺された」
「82年、英国とアルゼンチンが南大西洋フォークランド諸島領有を巡り交戦した。最後は英国が勝利するが、当時、海軍の情報班を率いていたグリーン氏は『当時のサッチャー英首相は、戦争に負けると思ったら核兵器を使っただろう』と言い切る」
「紛争で英軍艦にミサイルによる被害が出ていた。ミサイルをアルゼンチンに売却したのは製造国のフランスだった。サッチャー氏はミッテラン仏大統領(当時)に『ミサイルのレーダーシステムを不全にする情報を渡さなければ、アルゼンチンを核攻撃する』と脅し、その情報を入手していたことが後に明らかになった。そもそも英国の核兵器はアルゼンチンとの紛争抑止には効かなかった。グリーン氏は『(抑止が機能するという)洗脳から目が覚めた』と振り返る」
  次に、
「ジョージ・リー・バトラー元米戦略軍最高司令官(78)も『抑止は幻想だ』と批判する元軍人の一人だ。現在は病床にあるが、交渉会議のイベントでそのインタビュー番組が放映された。 バトラー氏は91〜94年にかけ、米国が仮想敵国から核兵器による先制攻撃を受けた場合、どう対応すべきかを大統領に助言する立場だった。大統領にもバトラー氏にも、人類の存亡を左右しかねない決断に与えられた猶予は10分だった。バトラー氏は今、『仮想敵国が何を考えてどう反応するかなんて本当は分からない』という。冷戦時代のソ連は、米国の想定とは異なり、どんな核攻撃にも全面核戦争で応じる計画だったことが後に判明したという」
「バトラー氏は軍拡競争をあおりがちな核抑止論を『不正な金もうけの仕組みだ』と表現する。退役後の96年、欧米の退役将軍ら60人と共に核廃絶の訴えを始めた。『核抑止力が世界の平和を支えてきた』というのが、国際政治のスタンダードな考え方だが、『核の最前線』にいたバトラー氏によれば、世界が核兵器の惨禍を免れてきたのは、単に『運と神の意思のおかげ』、つまり奇跡的だったというのだ」
 この現実を広く、世界中の市民が、特に核保有国の市民が知るべきだ。