ナオミ・クラインのショック・ドクトリン。上巻やっと読み終わるが、フリードマンの新自由主義が、途上国のみならず、旧東欧諸国やソビエト、中国などいわゆる「社会主義」国にも適用されたとは思いもよらなかった。紹介する。
これまでそんな情報、認識に接したことはなかった。
当時、中国共産党の主席である鄧小平が、資本主義・市場原理主義のミルトン・フリードマンを1980年に北京と上海に招いて、トップ官僚、大学教授、党の経済学者などに講演を聞かせたとは知らなかった。(写真ウィキペディアより)
フリードマンが例にあげたのは香港。資本主義国で暮らす香港市民が共産主義で暮らす市民よりも良い生活をしていること。香港は、民主主義はないものの、個人の自由、経済や自由貿易など、政府による経済への介入が少ないことなどをあげた。
政治的な自由は付随的、あるいは不要なもので、弱い立場を守る規制を撤廃、自由な利潤追求こそ重要としていたフリードマンの考えは、鄧小平から今日に至る中国共産党指導部の考え方と合致した。
つまり経済を開放して私的所有と大規模消費を促す一方で、中国共産党一党支配は維持するという方針だ。
国家の資産が売却されるにあたっては党幹部やその親族が有利な取引をし利益を手にする。つまり独裁政権下の新自由主義・資本主義国家。さらにグローバル資本主義として途上国に手を伸ばしている。
中国の億万長者の90%(2006年)は、中国共産党の子息・太子党が多くを握っているという。
中国は、名は「社会主義国」だが、経済・社会の実態は、国家主導の資本主義国で、米国の真似をしながらのし上がっているグローバル新自由主義国だ。
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中国のショックは、改革開放政策の途上で起こる。
天安門事件だ。