昨日のづづき「ショック・ドクトリン」の紹介です。
拷問技術の開発に関係したもう一人の学者に、カナダのマギル大学のドナルド・ヘッブ博士がいた。カナダ政府の資金提供を受けた彼の実験も感覚遮断に関するものだった。
ヘッブは同大学の学生63人に1日20ドル払って実験を行った。
学生たちは、目には黒いゴーグル、耳にはホワイトノイズが流れるヘッドホン、手と腕には物に触れられないように段ボールで覆われ、視覚、聴覚、触覚を奪われた状態で何日も過ごした。
その後、実験前に否定していた幽霊の存在や科学の不正について語るテープを聞かせ、感覚遮断によって「洗脳」されやすくなるかどうかを調べた。
結果、学生たちは、思考力を失い外部からの刺激を渇望するあまり、テープに録音された事柄に対して驚くほど受容的になったという。
ヘッブのこれらの研究論文は、CIAに送られ、その後の米軍やCIAの拷問マニュアルとして利用されていった。
アブグレイブ刑務所における捕虜虐待の
写真を見れば、感覚遮断拷問が行われたことは明らかだ。また、手には電気ショックのコードが付けられている。
キューバの米軍グアンタナモ刑務所でも、その他CIAの委託を受けた外部組織も中米ほか多くの国でこれらの研究にもとづいた拷問・尋問が行われた。
ja.wikipedia.org
拷問でも、科学者と軍や諜報機関が結託すると、極めておぞましい残虐的なことが起こる。(写真:ウィキペディアより)
ショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴く
- 作者:ナオミ・クライン
- 発売日: 2011/09/09
- メディア: 単行本