サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「基地国家日本」の形成と展開③

「基地国家日本」の形成と展開の続きです。
 著者は自衛隊が対米従属の軍隊の要素があるとするが、それは政治が生み出すので自衛隊も従属しているとし、政治の責任であって自衛隊の責任ではないといいたいようだ。
 政治の責任であっても、本質的に空母を持つ強力な武装自衛隊が従属であることに変わりはない。
 つまり、国民に犠牲がでようと、政府は対米従属を優先する(場合がある)ということだ。どんな場合でも国民の生命・財産・幸福追求の権利が、アメリカの国益に優先されるべきであって、国民からみればとんでもないことだ。
 国民は自公政権を選挙で選んではいるが、自民党は「対米従属」を公約し、それを国民が支持したわけではない。メディア操作による多くの偽りによって維持されている政権だ。
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 ではどうすべきか?と。
 著者は、対米従属の政治そのものを変えることである、あるいは「核抑止抜きの専守防衛」を確立することと主張する。
 過去の著者だったらありえない話、一番に理解していた事と思うが、「核抜き」安保がありうるはずがない。米第7艦隊、第5空軍他、核の脅しを手放すはずがない。
 松竹氏は、野党政権や日本共産党の「核兵器禁止条約」を支持しているとする。良いことだ。ならば、それこそが核廃絶実現の現実性だと、自公政権にこそ、また国民に向かって強く主張すべきではないか。
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 著者は「基地国家日本」の形成と展開--の6章の「安保条約をなくす独自の努力を」の項目でこう書いている。
「日本の平和と安全のためには、より根本的に安保条約をなくすべきだということを、つねに提起していく必要がある」
「安保条約があるもとでは、どんなに国民が願っても、アメリカが拒否すれば一つの基地も返還されない」「アメリカが沖縄をアジアへの出撃拠点として手放さない方針をもっている間は、絶対に基地は返還されない」と断じている。
 安保闘争の頃に比べれば、国民の認識が大きく変化して、日米安保を支持しているのが多数ではある。
 著者も、同様に認識が変化したのだろう。
 だが対米従属の本質は変わらない。それどころか、ますます危険な領域に踏み込もうとしている。
 ならば、事実に基づき、安保と対米従属の危険性を、ますます主張する政党が必要であって、著者が求めるように、日本共産党まで安保容認・堅持に変質するなら、現代において大政翼賛会の完成である。
 戦前のように共産党が非合法化でもされない限りそんなことはありえない。
 人は、変わる。良い方向にも、悪い方向にも。
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 後日に書くが、対米従属は、軍事だけではない。経済もしかり、食と農業支配も同様で深刻だ。