サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

資本主義以後の世界-中谷巌



 「資本主義以後の世界」-中谷巌著を買って読みました。
 前作「資本主義はなぜ自壊したのか」が、グローバル資本主義との決別を宣言した書として、いわば良き転向の書として面白かった。
 今回も「資本主義以後ー」との表題だったので期待した。もうひとつ、もうみっつかなー。
 グローバル資本主義の害悪いついての批判は今回も鋭い面がある。しかし、アングロサクソンの西欧資本主義は悪で、対する日本の資本主義は良質で可能性があるとするような考えは現実的ではない。
 それは歴史観にも表れていて、史実にもとづき他民族を激しく傷つけた過去を見つめる事を、日本「悪」=「自虐史観」と決めつけ批判する。
 中谷氏は、おそらく自らが国家に所属している意識が強く(自覚なしにか?)、国家間の関係からしか、世界を見ていない感じがする。私みたいに、民間人の大量虐殺は、アメリカの原爆投下も東京大空襲も日本軍の重慶爆撃も、どこの国がやろうと同罪、との立場を取らないようだ。
 原発問題にもそれが現れている。原発反対の立場を表明しながらも、核兵器製造の潜在力を持つべきとの考えから、2〜3基の原発は稼動させるべきの考えのようだ。
 国際社会の現実を指摘するが、これからの社会で果たして、核兵器を持つ世界が現実的なのか?すべてなくす世界に向かうのが現実的なのか?よく考えたがいい。核兵器はすべて禁止しなければ拡散する。大国だけが独占しようとしても実際には、核保有国は増えている。
 中国社会の分析も、参考になる面とギモンの両方。TPPに反対の立場や自然観、農林漁業重視の考えは賛成できる。少し期待はずれでした。