「核抑止論」の虚構(集英社新書・豊下楢彦著)のつづきです。
1981年6月7日、イスラエルは、空軍機を使いイラクがタムーズに建設中だった原子力発電所を空爆して破壊した。
イラクはIAEAの査察も受けていた。
中東で核兵器を持つ国は、イスラエルだけで、他国が核を持とうとするとイスラエルは、国際法違反であれ容赦なく破壊する。
2003年、大量破壊兵器開発の疑いを理由に、イラクは米ブッシュ政権から侵略戦争を受けた。
それを目の当たりにしたリビアのカダフィ大佐は、核開発含む大量破壊兵器の開発を認め、即時かつ無条件の廃棄を約束し、IAEAの査察を受け入れることにした。
実際の廃棄プロセスは、大量破壊兵器を持つ米英の情報機関が行った。当然、その他の様々な情報収集も行っただろう。
その後、「アラブの春」と称された民衆運動がリビアに及んだ。
独裁者カダフィは、武力制圧を行ったが、米英NATO軍がリビアの空爆を繰り返し、結果的にカダフィは、民衆によって殺された。
これを核開発をやめさせる「リビア方式」と呼ぶそうだ。
これを隣国として見ていたイランは、また北朝鮮はどんな教訓を得ただろうか?
北朝鮮は、リビアのようにはなるまいと、核開発を成功させ、搭載するICBMも開発中だ。
リビアの結末を知り、北朝鮮の核開発を見て、イランはどうするだろうか?
IAEAに加盟し、核査察も受けていたイランは、今年6月、イスラエル、さらにアメリカから核関連施設の空爆を受け破壊された。
核兵器を持つイスラエルとアメリカから、核査察を受けている国の核関連施設を爆撃されるいわれはない。
もちろんどの国も核兵器を持つべきではないが、まずは持っている国が核を減らし、なくしていくことこそ必要で道理ありことだ。
核開発を行っているとの疑いで、イランや北朝鮮は国際社会から経済封鎖を受けてきて疲弊している。
このダブルスタンダードの世界の多くの人々は、信じている。
核兵器は人を〝狂人化”させる。いつまでも核のボタンを持つ人がいつまでも正常であるとは限らない。

(柿兵器→ 風船に柿を吊り下げて他国に飛ばし、美味しく食べてもらって、他国の市民に安心を送る) 熟れてから