サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

シュミレーション日本降伏 ⑥安保5条問題

シュミレーション日本降伏の続きです。 
 この手の本では珍しく米軍支配・依存を批判し、資料も豊富で学ぶ内容も多い

  著者は、安保5条とNATO5条の「防衛義務」の違いも鋭く指摘する。
 NATO5条が「軍事力の使用を含む行動を直ちに取って被攻撃国を援助する」となっていて、一国に対する攻撃は全加盟国が「防衛義務」を負い参戦することになっている。
 安保5条は、自動的に日本を軍事支援するとは明記しておらず、憲法に従いとなっている。
 日本が軍事的な攻撃をうけ安保条約が適用されたとして、米側の憲法上の手続きは、
①米軍が日本救援の軍事行動をするかどうかは連邦議会決定させるか、
②「戦争権限決議」に基づき連邦議会と協調しつつ意思決定するか、
③「戦争権限決議」とは離れて、憲法修正第2条を根拠に大統領権限として決定するか、
 その場合、60日以内に連邦議会の承認が必要。できない場合は30日以内に全軍撤退が必要となる。
以上のような判断経過をたどることになるという。
 ③の場合、議会の承認が難しい場合は、米軍出動を断念することになる。

 さまざまなケース、、判断が予想されるだろう。
 まず、米軍基地などが攻撃された場合は、当然、日本を守る以前に米軍基地を守るために行動するだろう。
 しかし、中国との本格的な戦争、核戦争にエスカレーションする可能性がある場合、本国国民が被害を受ける時には、米国民の意を受ける議会は、賛成せず日本を見捨てることになる。条約上の義務はそれまでなので当然だ。
 著者は「思いやり予算」を指摘し、日本が条約の義務以上のことを行ってまで、米国の歓心を得ようとし、すがりつこうとしていると批判する。
 この常識的なことが、国民の常識になっていないのは、自民党政治の宣伝そのままのにメディア報道が成り下がっている証拠だ。残なことに多くの受動的な国民も認識できていない。
(写真:ウィキペディアより-サ条約・日米安保調印)