サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

資本論の中の未来社会論②

 昨日の続きです。
 原子力問題(P88)については違和感があります。
 現状の原発は危険性やコストの観点から廃止の立場ですが、いつの日か「安全の保障された新たな方法で人類が核エネルギーを利用できる時代にも到達できるでしょう」とし、「科学的研究に取り組むことが、未来社会の大方向となる」は、私としては極めて違和感を覚えます。
 今でも、未来でも、研究したい人は研究するでしょう。それをあえて今、積極的な意味の研究として、唱える必要があるのでしょうか?
 軍事の副産物だけが問題ではなく、放射能がらみの原子核をいじる事の危険性があるわけで、いま語るべきは自然エネの強調でしょう。
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 地球温暖化問題(P54)の視点も私には、ちょっといただけません。 
「『利潤第一』がうみだした地球温暖化の危機」の部分の、「『地球温暖化』はまさに資本主義そのものがひきおこした人類社会の危機です。この危機を解決する力を発揮できるかどうか、それは、資本主義が21世紀に生き残る資格があるかどうかが問われる問題だ‥」の部分、これも理解しがたい。
 地球温暖化問題を資本主義が解決できないならば、そのあとに社会主義未来社会が解決します、というような悠長な事態ではありません。主体的に解決の方向を示すことこそ「マルクス主義」だと思うのです。
 IPCCの第5次報告書を紹介しているように、科学者の多くは、人類の絶滅を真剣に危惧しています。現状認識として、このまま進めば人類は、気候災害、気候戦争、水・食料危機に襲われ、膨大な気候難民が生まれ、生物多様性の消失、生物種の絶滅とともに絶滅しかねない事態に追い込まれます。資本主義が終わる前に人類が終わりかねない、今、そんな危機的な分岐点に差し掛かっています。
 未来社会を描くなら、ここで持続可能な未来の社会像を示してもらいたい。
 現在進行中の地球環境の危機、この10年20年が極めて大事な近未来、さらに今世紀末、来世紀の人類と自然との関係を示してほしいと思います。
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 不破さんは(P138)資本主義から共産主義への過渡期についてのマルクス研究を紹介しています。
 マルクスは、パリ・コミューンを軍によって弾圧、倒したフランス政府の暴挙を告発するためインタナショナルの声明を発表しました。
 その部分が左の部分なのですが、環境派から見ると、そのなかの「環境と人間を作り変える一連の歴史的過程」が気になってしまいます。
 未来社会への変革・過渡期が長期に渡る意味なのでしょうが、ここの環境とは、自然のことではないか? と期待するのですが‥‥どうでしょう。
 どなたか解説できる方がおられれば、お願いしたいものです。