学生メンバーSEALDsに似た名前のSEAL、これは米海軍の特殊部隊。同じ若者。
狙撃手だったクリス・カイルは、イラク戦争に4度派遣され、160人を狙撃し、米軍史上、最高の狙撃数を記録した。米にとっては、交戦規定上の殺害、相手から見れば、また違う表現がある。
クリスを描いた映画アメリカン・スナイパー、映画を観てから、クリス自身が書いた原作を読んだ。
激しい訓練に耐え、戦場経験を経るにつれ、自ら危険にのめり込んでいく。
非公式だと255人も殺した人を正当化しないまでも、その立ち位置、心理状態は知りたいと思う。同じ人間には違いないので。
自らは身を隠し、相手に知られないところから、ファインダーをのぞいて引き金を引く。
彼が使っているこ言葉に「仕留めた」という言葉がよくでてくる。相手は人間なのだが、そんな感覚なのだろう。
愛国心も強い、フセインが大量殺戮兵器を隠していると信じている、敵を倒すことがイラク人のためと思い込んでいる、狙撃し仲間の部隊を守ることに誇りをもっている。
だが、殺した相手も、家族がいるかもしれない生身の人間だ。そんなことは想像もしないのだろう。当然、訓練で消去されている。戦場での、ためらいは、自分と仲間の死を意味し、許されない。
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今週の「赤旗」日曜版に、同じくファルージャで戦ったウイリアム・ホプキンスさんが紹介されている。
ファルージャでは民間人など6000人が殺され米海兵隊は70人が殺された。
州兵だったのにイラクに送られた。派遣命令はいやだったが、最高刑は死刑、拒否できなかった。
頭部を背骨と損傷し、瀕死状態のイラク人女性、この女性のことを今でも鮮明に思い出すようだ。
今は平和団体の事務局長をしているホプキンスさん、「9条は人類の理想」「米憲法にも入れたい」と語っています。
クリスは除隊後、精神的に苦しむ。殺し殺し殺される戦場に適応してからは、市民社会への適応は困難なのだろう。最後は、同じく、PTSDに苦しむ帰還兵に殺される。
こんな殺し合いに意味があるのか?何かしら解決に向かっているのか?だれの責任なのか?
できればファルージャの罪なく犠牲になった人の小説なり映画なりも出てほしい。真実は弱い方にある。
被害と加害と重層的に重なる構造、その頂点にはブッシュ大統領とその取り巻きが戦争犯罪者としている。そんな指導者を選んだのは米国の主権者、責任は今も問われ続けている。