サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

人殺し拒む本能を、訓練で耐性つけ兵士の心を変える

「朝日」9/9付け「オピニオン」戦場に立つということ を読んで非常に興味をそそられた。
 戦場の心理学の専門家・元米陸軍士官デーブ・グロスマンさんへのインタビューだ。引用しながら紹介したい。
 ―戦場で戦うと時はどんな感情に?
 「生きるか死ぬかの局面では、異常なまでのストレスから知覚がゆがむことすらある。耳元の大きな銃撃音が聞こえなくなり、動きがスローモーションに見え、視野がトンネルのように狭くなる。記憶がすっぽり抜け落ちる人もいます。実戦の経験がないと、わからないでしょうが」
 ―殺される恐怖が激しいストレスになるのですね?


 「殺される恐怖より、むしろ殺すことへの抵抗感です。殺せば、その思い体験を引きづって生きていかなければならない。でも殺さなければ、そいつが戦友を殺し、部隊を亡ぼすかもしれない。殺しても殺さなくても大変なことになる。これを私は『兵士のジレンマ』と呼んでいます」
「この抵抗感をデータで裏付けたのが米陸軍のマーシャル准将でした。第二次大戦中、日本やドイツで接近戦を体験した米兵に『いつ』『何を』撃ったかと聞いて回った。驚いたことに、わざと当て損なったり、敵のいない方角に撃ったりした兵士が大勢いて、姿の見える敵に発砲していた小銃手は、わずか15〜20%でした。いざという瞬間、事実上の良心的兵役拒否者が続出していたのです」
 ―なぜ?
 「同種殺しへの抵抗からです。それが人間の本能なのです。多くは至近距離で人を殺せるようには生まれついていない。それに文明社会えは幼いころから、命を奪うことは怖ろしいことだと教わって育ちますから」
 「発砲率の低さは軍にとって衝撃的で、訓練を見直す転機となりました。まず射撃で狙う的を従来の丸型から人型のリアルなものに変えた。それが目の前に飛び出し、弾が当たれば倒れる。成績がいいと休暇が3日もらえたりする。刺激反応刺激反応と何百回も射撃を繰り返すうちに、意識的な思考を伴わず撃てるようになる。発砲率は、朝鮮戦争で50〜55%ベトナム戦争で95%前後に上がりました」
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 私が思うに、「それが戦争だ」の決まり文句ではすまされない。殺す側の緊張感と論理で、罪なく殺される側の立場は皆無だ。これでは憎しみの悪循環はいつまでもつづく。戦争は同等の力のヨーイドンのぶつかりではない。基本的に、強いものが弱いものを攻撃する。旧日本軍の米国攻撃は狂信的例外。
 こんなやり方で兵士をコントロールし、殺人者に仕立て、他国での武力攻撃、対外侵略を繰り返す軍の心理学者ってホント恐ろしい事です。
 同様の目的の訓練として、戦前の日本では、初年兵が、縛りつけた捕虜や住民を銃剣で刺殺させ、殺すこ事への抵抗感をなくしていった。
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 長いので続きは明日、PTSDについて。