先日、柳澤協二さんの講演を聞いた時に買ってサインしてもらった「自衛隊の転機」−政治と軍事の矛盾を問う、を読みました。
この人、自分に向き合う誠実な人、と思います。
防衛官僚として、長らく戦後の安全保障に関わった自分の体験を振り返りる。
イラクへ自衛隊派遣を自分なりに総括する。
「防衛官僚は、自衛隊と政治のみならず、自衛隊と国民をつなぐ結節点である」と語り、安倍政権が国民の理解なしに、集団的自衛権や安保法制を強行することに強い疑問を呈する。
冨澤暉元陸幕長、伊勢崎賢治元国連PKO幹部の対談での最近のPKO活動の話が興味深い。
- 作者: 柳澤協二
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相手の武装勢力は住民と一体化している場合もあり、どこから攻撃されるかわからず極めて危険。しかも最近は、先進国はPKOに出さず途上国や周辺国が多いらしい。日本はなぜか、自衛隊員を危険な方向に出したがる。
しかも戦争を想定していない憲法のため軍法がなく、派遣される自衛隊員の身分が軍人として保障されない。
国際法のジュネーブ条約の捕虜としての保護は受けられない。
言わば、山賊とか民間軍事会社員としての扱いしか受けられない。
自衛隊員が間違って、民間人を殺傷した場合は、日本の国内法で裁くしかなく、殺人罪に問われかねない。
キューバのグアンタナモ基地では、タリバンやアルカイダのメンバーを拘束して、拷問している。これは国家の保護を受ける捕虜としての扱いをしていないからだ。
新しい法律の下で、不安定で危険状態になっている南スーダンに送られる自衛隊員。これではたまったものではない。
さらに相手国住民から恨みを買うことになれば、フランスようなテロ攻撃をうける可能性もある。