サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

さよなら原発2024-飯田講演

 今日は東日本大震災福島原発事故から13目になります。
 さよなら原発くまもとでは屋内集会を開催。
 昨年につづき飯田哲也さんを招いて講演がありました。
 膨大なプレゼン資料を使って、再エネが進む世界と、1周2周と遅れる日本の現状を話されました。
 自公政権は、危険で、コスト高、廃棄物処理の見込みのない原発にしがみつこうとし、日本をさらに停滞する国へと進めている。
 その分、再エネが遅れ、しかし、出力調整で、せっかく発電した電気を捨ててしまっている。
 愚かな行為は、自公政権が変わるまで続くだろう。
 膨大な資料、データが欲しいと思った。

 ただ、「脱成長」論の私としては、先進国主体、技術信奉には、疑問を持っている。
 いわゆるデカップリング問題だ。
 FV化はすすめていいが、化石燃料車はもちろん、EV車だってどんどん造ればいいというものではない。
 先進国は、CO²デカップリングは可能かもしれないが、マテリアルデカップリングはできない。
 資源開発国の環境破壊、生態系破壊は進むし、経済成長が進めば、それはまわりまわって地球規模の環境破壊は不可避だ。
 物事を惑星規模で考えなければならない時代、「人新世」を全く考慮できていないと思う。
 

中国「軍事強国」への夢」⑩台湾海峡封鎖シナリオ

 中国「軍事強国」への夢」の続きですが、これで終わります。
 文春2月号に「台湾『2025海上封鎖』」シナリオと題する論文が載っている。
 中国「軍事強国」への夢」の監訳者・峯村健司キャノングローバル戦略研主任が台湾戦争の可能性について書いたものだ。
 峯村氏は、中国人民解放軍を長期に取材・研究している。まず、中国軍は台湾侵攻と同時に尖閣を攻撃するシナリオは低いという。
 日本では尖閣に中国が攻めてくると盛んに煽られているが峯村氏は、それを否定。当然だろう。中国はできるだけ日本を巻き込みたくないし、尖閣上陸に戦略的意味はないから。これは田岡氏らも主張している。
 中国としては、可能な限り米軍を介入させない方法を取るだろう。日本の自衛隊は、米軍の判断しだいで動きは決まる。
 
 峯村氏のシナリオの一つは、トランプが大領領に返り咲いた場合だ。
 トランプ氏が大統領になったら就任演説で、「これまでわが国の基本方針だった『一つの中国』政策と『戦略的曖昧性』の見直しにも着手する」と言うだろうと想定する。
 その後、米国が台湾への武器援助を表明したり、中国側が全人代で「一つの中国」原則を法制化するなど、対立のエスカレーションシナリオはすすむ。
  その後、中国は東シナ海から台湾海峡バシー海峡まで計14カ所で実弾射撃訓練を14日間行い、あわせて台湾海峡を通過する船舶の「海上臨検」を行うと発表。
 これに対し、台湾は中国の「臨検」を違法かつ不当とし。自衛権の発動を米国や友好国に支援を求める。
 中国による「臨検」と軍事演習で台湾の物流は、ほぼ遮断され、コンテナターミナルも使えなくなる。
 台湾の食糧自給率は30%ほど、発電用のLNGの備蓄は14日分、原油備蓄も90日分しかない。
 合わせて中国は、インフラ施設へのサイバー攻撃を行い市民生活が混乱、住民不安が増す。
 台湾は極端なエネルギー不足、食料、生活必需品不足に陥る。

 演習では、「空母キラー」のDF21はじめ様々なミサイル台湾周辺や西太平洋に打ち込む。
 また台湾の港周辺に機雷を敷設し、港への船舶の出入りをストップさせる。
 中国は、窮地に陥った台湾住民の「人道回廊」を認める代わりに「統一」に向けた対話を条件として示し、台湾との「統一協議」を開始する。
 こんなシナリオだが、米軍がどうでるか?その指揮によって自衛隊がどう動くのか? 
 峯村氏は、CSISのにゅみレーションでは、嘉手納、岩国など、在日米軍の出動が前提になっているが、台湾有事で在日米軍基地をあてにできるかわからない、とする。
 また、平和団体などが米軍基地を封鎖する座り込みなどをしたり、ドローンやバルーンで離発着を妨害する可能性もあるとする。
 さらに、米軍出動に関し、日米政府の事前協議がある事も指摘する。
 そこは峯村氏、本音は語っていない気がする。
 トランプだろうと、バイデンだろうと、日本政府の主権はないと同じだ。
 メディアも米国と日本政府の動きに応じて、また先んじて報道を繰り返すだろう。
 自民党政権がどうだろうと、主権者国民が事実に基づく情報を得て、自ら判断する事が重要だ。
 南西諸島・沖縄・九州・全国を巻き込む戦場となり、住民犠牲も許すのかどうか?
 主要メディアは、事実を報道しない。知る主体は主権者。
 シナリオには、アセアンの動きが考慮されていない。バシー海峡の対岸のフィリピンの動きは重要だろう。

 敵は、国家や人間ではない。自然からの反逆が強烈で、元には戻らない事態になりつつある。
 脅威である海面上昇は止まらないし、強烈な台風も襲来するだろうから、海軍基地も岸壁のかさ上げが必要となるだろう。

中国「軍事強国」への夢」⑨国外へ

 中国「軍事強国」への夢」の続きです。
 最終章は、21世紀の人民解放軍は国土内には留まらず とある。
 なるほど、これまたアメリカの真似で、それを理由に対外展開を正当化しようとする。
 米国も中国も、どこの国も自国領土防衛のみに徹し、海外展開はやめなければならない。
 著者劉氏の理由付けは以下のとおり。
 国益が海外に急速に拡大するにつれ、中国の安全は外部世界と密接につながるようになった。
 中国の海外資産は6兆ドル(840兆円)を超え、中国の海外進出企業は4万社以上ある。
 毎年1.7億人が出国し、数百万人の中国人従業員が180ヵ国以上の国と地域で働いている。
 で、一部の国では中国の企業やプロジェクトが破壊されたり、従業員が拉致さる事件も発生している。
 海外の権益を守るため、テロに防ぐために、軍の海外展開が必要と説く。
 植民地時代に中国が受けた西洋列強国の介入を受け、満鉄防衛を理由に日本軍が干渉や侵略戦争を行った理屈と変わらない。
 中国の軍は、自国内の「中国人民の解放」軍なのに、海外展開へと舵を切っている。
 まず重視してきたのは国連PKO参加。日本と同じ。
 また中東のジブチへの基地展開、周辺海域の海賊対策ほかを理由に。
 そして日本もジブチに海自の基地を持つ。ジブチとは自衛隊地位協定を結んで駐留している。憲法で戦力を持たないとする国が海外に基地を持つ。平和認識の劣化、戦争への傾倒は著しい。
 米国も中国も日本も、どこの国でも海外展開すると、必ず武力を行使したくなる。
 各国にとって今や、最大の脅威は気候変動だ。しかも共通する危機で共同対処が必要だ。軍事的に対立したり覇権争いをしている場合ではない。

 (写真ウィキ:中国空母「遼寧 」)
 

西部方面隊 観閲式

 3月3日、西部方面隊(健軍自衛隊)の観閲式が自衛隊通りで行われ、見に行ってきた。
 ミサイルから戦車まで、さまざまな兵器、車輛がうるさい音をたてて通っていった。
 現在保有している12式地対艦誘導ミサイルは、日本に近づいてきた艦船を地上から攻撃できるもので、飛行距離は200㎞程度。まだ、専守防衛の範囲という理屈を述べる事はできる。
 しかし開発中の12式地対艦誘導ミサイルの能力向上型は、攻撃距離を900㎞、それ以上をめざしている。
 また本格的にミサイル戦争を戦うために、地上発射型の他に、艦艇発射型、航空機発射型、潜水艦発射型まで開発しようとしている。

 数年後、これらの敵基地攻撃ミサイル車輛が自衛隊通りを観閲する時、国民は今以上の覚悟が求められる。健軍自衛隊八景水谷自衛隊、熊本空港にミサイルが降ってくることを。
 会場には、自衛隊員の家族づれなど、支援する人たちが多く集まっていた。どこの国の観閲式にも、人は集まる集められる。
 中国の観閲式。
 日本が敵基地攻撃ミサイルを打つと想定している中国の観閲式。
 規模がちがう。大差で負けている。
 ミサイルも人員も規模が違う。核兵器も持っているし、そんな国と戦争しようとして、どうするの?
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 こちらは北朝鮮の観閲式。軍事国家は違うなぁ。
 その真似をしようとしているのが日本。北朝鮮の怖さを知るには、同じ軍事独裁国家だった、我が日本の過去を振り返ればいい。

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 自衛隊通りに集まっていた市民。
 どこの国の観閲式に集まった人たちも、戦争はしたくないはず。
 相手が攻めてくれば、守らざるを得ないだろうが‥。
 どこの国の国民であれ、指導者が戦争始めないようにすることが何より大事だ。

 だが観閲式をやらない国がある。観閲式で、他国に軍備をひけらかす必要はない。
 必要と考えれば、いつでもどこでも先制攻撃、武力介入している。
 それは米国だ。
 イラク戦争ベトナム戦争‥‥数えきれないほどある。本国を戦場にした経験を持たない「民主主義」国の人々。

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斎藤幸平、三井化学で基調講演 予定

 斎藤幸平氏が、大企業である三井化学のフォーラムに呼ばれ基調講演をするそうです。(3/22)
 テーマはリジェネラティブな未来について(リジェネラティブ→再生的)
 私も面白そうなので視聴したいと思います。
 HPには、「『三井化学フォーラム 2024』のテーマは、「リジェネラティブ」です。カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現とその先にあるサステナブル(持続可能性)を超えたリジェネラティブ(再生的)な未来の実現に向けて、三井化学が推進するバイオマス、ケミカルリサイクル、マテリアルリサイクル等サステナブルな取り組みについて4つのソリューションをご紹介します」と書いてあります。

jp.mitsuichemicals.com

 テーマに、斎藤幸平さんは合うと思います。
 しかし斎藤さんは、企業の利潤追求批判も鋭い左翼のコミュニストです。
 よくも企画がととおったもんだと思う。しかも社長も挨拶する。
 社内では、反対、慎重、賛成ほか、さまざまな意見があって、判断があって、最終的な決断があってのことだと思う。
 企画者、講演者、視聴者それぞれに良い認識が深まることを期待したい。未来社会を見すえて。

 私の周辺では、そんなことに踏み込む多様性はない。残念ながら未来を見ていない‥‥。

中国「軍事強国」への夢」⑧海洋進出

 中国「軍事強国」への夢のつづきです。

 中国が海洋進出に向おうとする動機はわかる。
 西洋の列強各国が海洋進出で世界に植民地や覇権をもたらしたからだ。
 中国もさまざまな侵略を、海洋から受けた苦々しい歴史を刻んでいる。
 またアジアでも、海を渡って日本が戦争を仕掛けてきた。
 日清戦争で負けた結果、いま問題になっている台湾を割譲させられた。
 著者の劉氏が言う、海軍が弱かったからだという教訓はうなずける。
 また、中国の貿易の大半は海洋をつうじて行われている。
 石油や天然ガスなど、エネルギーの多くはマラッカ海峡南シナ海をつうじて輸入している。これらのシーレーンがふさがれると中国は窮地に追い込まれる。
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 アメリカの対中国戦略には(エア・シーバトルやオフショワコントロール)これらの海洋輸送のチョークポイントを締めあげる作戦がとられる。
 逆に中国が台湾攻略をする際は、直接に上陸占領するよりも、台湾の海上封鎖で台湾の締め上げる作戦がとられるだろう。
 その点でアメリカは気楽だ。太平洋・大西洋側とも、米国のシーレーンを脅かす国はないし、大陸で資源も食料も十分確保できる。

 ただ劉氏は、南シナ海海南島戦略原潜の事は書いていない。南シナ海バシー海峡をとおり太平洋に出る中国の原潜は核抑止力の基本戦略のひとつ。
 米側は、そのためにも「航行の自由」作戦など含め、原潜の音紋解析、追跡に注力している。
 要は、双方大国の覇権争いに過ぎない。
 海は本来、国家のものではない。住む人々のものであり、更に言えば多様な生物を育み地球の環境を整える点では、生態系を維持する未来の人も含め人類全体のものだ。大国に勝っては許されない。
 南シナ海沿岸の各国、アセアン諸国は中国ともアメリカとも違う話し合い路線を進めている。
 アセアンに注目する軍事アナリストは少ないし、メディアも注目しない。しかし日本共産党はアセアン諸国と共同歩調とっている。