中国「軍事強国」への夢のつづきです。
中国が海洋進出に向おうとする動機はわかる。
西洋の列強各国が海洋進出で世界に植民地や覇権をもたらしたからだ。
中国もさまざまな侵略を、海洋から受けた苦々しい歴史を刻んでいる。
またアジアでも、海を渡って日本が戦争を仕掛けてきた。
日清戦争で負けた結果、いま問題になっている台湾を割譲させられた。
著者の劉氏が言う、海軍が弱かったからだという教訓はうなずける。
また、中国の貿易の大半は海洋をつうじて行われている。
石油や天然ガスなど、エネルギーの多くはマラッカ海峡と南シナ海をつうじて輸入している。これらのシーレーンがふさがれると中国は窮地に追い込まれる。
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アメリカの対中国戦略には(エア・シーバトルやオフショワコントロール)これらの海洋輸送のチョークポイントを締めあげる作戦がとられる。
逆に中国が台湾攻略をする際は、直接に上陸占領するよりも、台湾の海上封鎖で台湾の締め上げる作戦がとられるだろう。
その点でアメリカは気楽だ。太平洋・大西洋側とも、米国のシーレーンを脅かす国はないし、大陸で資源も食料も十分確保できる。
ただ劉氏は、南シナ海・海南島の戦略原潜の事は書いていない。南シナ海とバシー海峡をとおり太平洋に出る中国の原潜は核抑止力の基本戦略のひとつ。
米側は、そのためにも「航行の自由」作戦など含め、原潜の音紋解析、追跡に注力している。
要は、双方大国の覇権争いに過ぎない。
海は本来、国家のものではない。住む人々のものであり、更に言えば多様な生物を育み地球の環境を整える点では、生態系を維持する未来の人も含め人類全体のものだ。大国に勝っては許されない。
南シナ海沿岸の各国、アセアン諸国は中国ともアメリカとも違う話し合い路線を進めている。
アセアンに注目する軍事アナリストは少ないし、メディアも注目しない。しかし日本共産党はアセアン諸国と共同歩調とっている。