中国「軍事強国」への夢」の続きです。
最終章は、21世紀の人民解放軍は国土内には留まらず とある。
なるほど、これまたアメリカの真似で、それを理由に対外展開を正当化しようとする。
米国も中国も、どこの国も自国領土防衛のみに徹し、海外展開はやめなければならない。
著者劉氏の理由付けは以下のとおり。
国益が海外に急速に拡大するにつれ、中国の安全は外部世界と密接につながるようになった。
中国の海外資産は6兆ドル(840兆円)を超え、中国の海外進出企業は4万社以上ある。
毎年1.7億人が出国し、数百万人の中国人従業員が180ヵ国以上の国と地域で働いている。
で、一部の国では中国の企業やプロジェクトが破壊されたり、従業員が拉致さる事件も発生している。
海外の権益を守るため、テロに防ぐために、軍の海外展開が必要と説く。
植民地時代に中国が受けた西洋列強国の介入を受け、満鉄防衛を理由に日本軍が干渉や侵略戦争を行った理屈と変わらない。
中国の軍は、自国内の「中国人民の解放」軍なのに、海外展開へと舵を切っている。
まず重視してきたのは国連PKO参加。日本と同じ。
また中東のジブチへの基地展開、周辺海域の海賊対策ほかを理由に。
そして日本もジブチに海自の基地を持つ。ジブチとは自衛隊の地位協定を結んで駐留している。憲法で戦力を持たないとする国が海外に基地を持つ。平和認識の劣化、戦争への傾倒は著しい。
米国も中国も日本も、どこの国でも海外展開すると、必ず武力を行使したくなる。
各国にとって今や、最大の脅威は気候変動だ。しかも共通する危機で共同対処が必要だ。軍事的に対立したり覇権争いをしている場合ではない。
(写真ウィキ:中国空母「遼寧 」)