サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

現代戦略論-③「米中大国間競争時代」の日本

 現代戦略論の続きです。

 依然はタカ派の跳ね上がりが中国に対し、日本の優秀性を誇る風潮があったような印象がある。
 最近は、著者ら専門家も、中国と日本の軍事バランス変化は中国が優位にある事を率直に記述している。
 
     日中米の戦力比較
        日 本  中 国  米 国
潜 水 艦    22   59   67
(内 弾道ミサイル原潜     6   14)
主要水上戦闘艦  49   86  124
第4世代戦闘機 292 1213 1503
第5世代戦闘機  25   50  485
                    著者作成
 その要因のひとつに中国の軍事費の伸びに比べ、日本の伸びが少ないことを指摘する。
 米軍は、自国の周辺防衛のためではなく、世界中に軍事力を展開中で強大。
 中国は、今のところ中国は自国周辺の軍備にとどまる。

 東アジアの防衛支出シェアの2001年~2021年の変化
        2001年  2021年
   中国   45%  65%
   日本   36%  15%
   韓国   10%  15%
   台湾    9%   5%

 これは素人向けによく使われる論理で誤認させられる。
 もう一つ指標を示す必要があるのが経済力・GDPの変化だ。これがない。
 日本経済大国だったが、長年の自民党政治の結果、経済は伸びず、技術においても半導体、液晶パネル、リチウム電池スマホ他、中国や韓国に抜かれ、先進国中で後進国に成り下がっている。
 中国は、とっくの昔に経済力で日本を抜き、香港を含めれば4倍近い。購買力平価では米国を抜いている。
 広大な国土を持ち、多くの国と国境を接し、日本の人口の10倍以上もある中国の軍事力は、経済力相応の伸びと言ってもおかしくない。これは現実だ。

 米国は戦後ずっと、中国に軍事的脅しをかけるために米軍基地を日本においてきた。
 日本の国土から米軍が中国に艦船、爆撃機、ミサイルが向かうことを日本国民は了解してきた。 
 そして今や、経済力、技術力が日本の3~4倍もあるその中国に、こんとは日本の自衛隊がミサイルを向けようとしている。それがが防衛3文書であり、敵基地攻撃力の保有だ。給料の上がらない日本で、そのために軍事費2倍にするという。
 愚かとしか言えない。相手は核兵器を持っている。頼りは、戦争に向かわない事以外にない。
 頼りにしているのは、軍拡をけしかけている米国。アメリカがついていいるから安心‥‥と。
 中国にミサイルを向けるが、米国がいるから安心。
 米国に、そっぽを向かれないために、何でもかんでも、言う事を聞かなきゃ。そんな感じだ。

 自衛隊の先輩たち、その先輩たちであった旧日本軍の幹部たち。
 鬼畜米英を叫ばせられながら、米艦船に自爆攻撃をしかけ、特攻隊として若い命を失った人たち。いま生きていれば、現状に対し、なんと言うだろうか。彼らはいない。
 であれば、その問いを発するべきは、今の防衛関係者であり、著者らでもあると思う。
 先の戦争指導者で、戦後も生きて現在の対米関係を構築した人たち、自害も含めなくなった人たちを甦らせてテレビで対談させたいものだ。
 現実にはできない話だが、架空にはできる。すべきだし、想像すべきだ。
 でなければ、同じ誤りを繰り返す。 

 
  中国DF17 ウィキペディア