シュミレーション日本降伏のつづきです。
著者の北村氏は、2021年ごろの中国人民解放軍と自衛隊の比較を行っている。
率直に言って圧倒的に中国優位である。(表:同書)
多くの日本人は、過去の栄光から冷めやらず、中国の高い技術力や生産力を認識できていないかのようだ。
もちろん日本は、半島や大陸侵略を行った歴史があり、敗北した。そのための憲法9条も持ち、戦力は不保持としてきて、軍事的劣勢は当然と言えば当然でもある。
そもそも対外的に戦争をしない国是でもあり、力の差は当然だ。
その結果か、戦後、外国との戦争は一回も行っていない。直接的には。
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さて、ここからが考え方の分かれ道だ。
だからと、中国に対抗しようとしているのが日本政府だ。敵基地攻撃力、司令部などの地下化、軍事費倍増。
著者も、米国は頼れないので、自衛隊の軍備増強を唱える。
しかし、軍備増強競争で中国に勝てるのか?
逆に、ますます差が開くばかりだ。
中国は、経済力で日本の4倍近く、技術力でも日本を上回る。
生産力、技術力でも敵わない相手に、力で挑もうとしてもムリな話、常識だ。
ならば、国民の安全のためには、紛争・戦争を避けることだ。
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中国は独裁国家で何をするかわからない‥‥。
たしかにそう思えるフシはある。だが、重要な貿易相手国の日本を、理由なく攻撃、占領することなどありえない。
日本は海に囲まれているので、日本に揚陸し占領することなど、米国以外にそんな能力の国家はない。
歴史を振り返れば、大陸からの元寇はあったが、米国以外から占領統治された歴史はない。
他国軍が長く居座っている事態もない。
米国軍の支配を受けている実態を「守ってもらっている」と、思想的支配を受け入れていることもなかった。
先の戦争で「鬼畜米英」と叫んで自爆していった人たちを生きかえさせたら、今の事態のなんと言うだろうか。
半島や大陸、アジアの各国は、日本の侵略を受け多大な被害を受け、それは人々の心に刻まれている。
そんな歴史を都合よく忘れ去っている、日本への警戒感は弱くない。