サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

台湾危機④ 南西諸島ミサイル配備

 布施祐仁著の「日米同盟・最後のリスク」のつづきです。
.
 今から10年前の2012年、米海軍大学のトシ・ヨシハラ教授らによって発表された論文「アメリカ流非対称戦争」がある。
 この論文では、日本が南西諸島にミサイル基地を置くことで、中国の軍艦や航空機を東シナ海に封じ込め、中国軍が太平洋側から台湾を攻撃するのを防ぐことができると述べている。
 この米軍の対中戦略にそって、南西諸島へ、自衛隊の地対艦ミサイル、地対空ミサイルの配備が進んでいる。
 論文のリンク先は、自衛隊の海幹校戦略研究 2012 年 5 月号だ。なんと自衛隊が対中国戦争の最前線に南西諸島のミサイル基地を位置づけ、島民が生活する島々が戦場になっても構わないとする立場をとる。
 論文の一部を紹介すれば、
 「日米の防衛部隊は、中国の水上艦艇、潜水艦部隊及び航空部隊の太平洋公海への重要な出口を閉鎖できるのである。 効果的な封鎖作戦を遂行することにより、人民解放軍指揮官はこれらの連合軍派遣部隊を無力化したい誘惑に駆られることであろう。しかしながら、そのような行動は人員と資材の損耗を招き、中国の戦争遂行能力の大部分を失うこととなろう。何故ならば、中国政府にとって、本来些少の利益しかない島嶼を巡る紛争は、制限戦争の範疇では、エスカレーションに見合うだけの効果が無いと判断されると考えられるからである。
 既に日本の防衛計画担当者は、そのような周辺の論理を抱合した模様である。日本政府による 4 回目の長期安全保障・防衛計画となる、新防衛大綱(22 大綱)によれば、島嶼部への攻撃に対しては機動運用可能な部隊を迅速に展開し、「侵略を阻止・排除」することとされている」「陸上自衛隊は 88 式地対艦誘導弾部隊を含む複数部隊を、琉球諸島の北端近くの奄美大島に展開させた。解説によれば、これは中国への警告ともいえる訓練である。これら適度な平時の機動は、日本の南方戦略における本質的な軍事化の段階といえよう」

 米軍の世界戦略に従って自衛隊が部隊を展開する。中国のミサイルは、日本の米軍基地に狙いは定めているだろうが、日本自衛隊は中国の艦船、航空機に狙いを定める。
 米軍・自衛隊と中国側は、互いにさらに軍備増強が進んでいて、かなり危険な状態になっている。
 恐ろしい事態だ。米国本国は、太平洋の向こう側で安泰だ。
 いざとなったら島民はどうなるのか?避難できるのか? 避難責任は自衛隊にはなく、自治体が責任持つとされる。一体何を攻撃し、誰を守ろうというのか?9条下の自衛隊
 米国も日本も中国も、軍縮に向かうことはできないのか? 
.