サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

北極異変、白熊大変

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 北極異変が続いている。
     (図表-JAXAより)
 今年の北極海の海氷面積は、赤線のとおり観測史上2番目に小さくなった。
 9月中旬から海が氷始めたが、10月半ばになって停滞し、この時期としては史上最少を記録している。グラフのとおり7月段階でも史上最少だった。いったいどうしたことか?

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 図表で見ても、80年代ならば今頃はシベリアやカナダあたりまで氷がはっていて、白熊は狩りができたろうに。
 これではいつ海氷が広がって狩りができるかわからない。今年は、例年にも増して白熊は飢餓に陥るだろう。
 白熊にとって、冬場の土地を奪われるに等しい。
  絶滅の日が一歩一歩迫っている感じだ。
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 ということは、次は人間、という事になる。
 人間も海面上昇で住む土地を奪われ、猛暑が襲い、洪水にあい、水と食料の確保が困難になってくるだろう。
 

人新世の資本論⑨ 地球をコモンとして

 斉藤幸平の「人新世の資本論」のつづきです。
f:id:adayasu:20201004184328j:plain:w200:right 現在、人間の無限の経済成長の活動が地球の限界とぶつかって、劇的な地球環境の変動が起こり、破綻しかかっている。
 その解決方としての経済成長主義・気候ケインズ主義に、斉藤氏はギモンをなげかける。
 危機回避には、経済成長から脱経済成長へと向かい、地球の限界内での活動にとどめる必要があるが、それは利潤追求が本質の資本主義ではできない。システムの転換が必要で、斉藤氏はそれを「コモン」として描く。
 「コモンとは社会的に人々に共有され、管理されるべき富のこと。水や電力、住居、医療、教育といったものを公共財として、自分たちで民主主義的に管理する事を目指す」。
 宇沢弘文の「社会的共通資本」と同じようなイメージだが、このコモンは専門家任せでなく、市民が民主的・水平的に共同管理に参加することを重視する。そして、このコモンの領域をどんどん拡張し、資本主義の超克をめざすことに大きな違いがある。
 脱成長コミュニズム
 トマ・ピケティ。「21世紀の資本」がベストセラーになり有名になった。昨年に刊行された「資本とイデオロギー」でピケティは、「現存の資本主義システムを超克できるし、21世紀の新しい参加型社会主義の輪郭を描くこともできると私は確信している。つまり、新しいsy快適所有、教育、知と権力の共有に依拠した新しい普遍的で、平等主義的な未来像を描くことはできるのだ」と書いている。はっきりと社会主義への方向へ舵をきった。
 私はまだピケティは、読んでいない。
 

運動会

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 今日は、孫の保育園の運動会でした。雨天のため残念ながら体育館。
 ま1才7ヶ月、そこそこ走り、そこそこ乗り越え、無事、終了。
 園長はじめスタッフのみなさんお疲れ様でした。

人新世の資本論⑧ 「SATOUMI資本論」

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 斉藤幸平氏の本の続きです。
 井上恭介氏の「里海資本論」を読み終えて、そして藻谷浩介氏の解説が良かったので紹介します。
 里山資本主義の続編的な本なのに、なぜ?「資本論」と?
 藻谷氏の解説がおもしろい。
「利潤を目指す自由競争の中で神の見えざる手が働き、経済に均衡と繁栄をもたらす」というアダム・スミス以来の考えに対し、「現実社会では必ず搾取と不均衡が発生してしまう、だから神だけに任せずに人間もそれを防ぐべく努力をせねばならない」と説いたのが本家・資本論だったら『里海資本論』も、「自然界では人為は有害無用、自然(あるいは神)が自ずと均衡や多様性をもたらす」という「一神教的な」発想に異を唱える。
 「そうではない、人間も八百万の神の系譜に連なる端くれとして、自然界に均衡と多様性をもたらすことのできる、いや、もたらすべき存在なのだ」と。
なるほど、なるほど。
f:id:adayasu:20201012175833j:plain:w200:right 里海とは、「人間の暮らしの営みの中で多年の間、多様に利用されていながら、逆にそのことによって自然の循環・再生が保たれ、しかも生物多様性が増しているような海」と、藻谷氏。
 「風の谷のナウシカ」のト書きに、「この時代、人は海からの恩恵からも見放されていた。海はこの星全体にばらまかれた汚染物質が最後にたどりつく所だったからだ」が出てくるそうだ。たしかに。
 プラも化学物質も最後には海に行きつく。
 「戦前の大恐慌に行き詰まった資本主義社会が、その後100年以上も命脈を保っているのも、当時沸き起こった社会主義運動の目指した人間回復、公正性の実現という理想を、資本主義システム内部に取り込んで自己変革を行ったからだ。そのような変化をもたらす画期を築いた書物が、カールマルクスの「資本論」だった。
 マネー資本主義、新自由主義、人と市自然の収奪、富裕層と貧困、そして地球環境破壊・温暖化。
 これに対し、地球の限界内に人間活動を制限し、人間の自然関与が、生態系の多様性に貢献する、そして自然的人間らしい幸福が味わえる社会へ。

人新世の資本論⑦ 富裕層CO2

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 斉藤幸平氏は富裕層が排出する大量の二酸化炭素を問題にする。
 表(同書)のように富裕層のトップ10%が約50%ほどの二酸化炭素を排出している。
 逆に貧困層の下から50%は、全体の10%しか排出していない。しかし、気候変動の被害は真っ先に受けることになる。なんという不公平。私たち日本人の多くも上位10%程度のところにいるかもしれない。
 地球の平均気温の上昇を1.5度以内にするためには、2030年までに世界人口1人当たりの平均炭素排出量が1年に2.1トンでなければならないらしい。
 しかし最上位1%の1人当たり炭素排出量は2030年の目標値より30倍も高く、下位50%に比べると100倍も高いようだ。確かに金持ち層は、プライベートジェットで飛び回り、豪邸に住み、SUV車を乗り回してりる。(下サイト参照)
news.yahoo.co.jp
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 先進国の日本人として、この過大な環境負荷を早急に引き下げるようすべきだろう。日本においても低所得者層は、つましい生活で環境負荷はおおきくない。この格差をなくし、負荷の低いほうへと合わせるべきだ。

人新世の「資本論」 (集英社新書)

人新世の「資本論」 (集英社新書)