人新世の資本論⑥ 里海資本論
斉藤幸平氏の「人新世の資本論」のつづきです。
この本は昨日の「熊日」の新著の余禄でも紹介してありましたし、蔦屋でも一応、平積みしてあり、うれしく思っています。
「里山資本主義」につづき、「里海資本主義」ならぬ「里海『資本論』」(井上恭介著)となっているのが面白く、斉藤幸平氏の考えに共通する面があり紹介します。
「地球の限界」を救うモデル。それは瀬戸内海の”里海”にあった!!→なかなかおもしろい。
里海=SATOUMIとは→→人が手を加えることで海を健康にし、豊かにするメカニズム。
カキの自然養殖、アマモの育成など、人が適切に手を加える伝統的な漁法・海と人との関わりで、瀬戸内海の再生を進めている。
自然との物質代謝を自然・地球の限界内で行うこと。
過剰な採取、汚染、生態系のかく乱を伴う利潤追求。過剰生産・消費に歯止めをかけることが大事
- 作者:井上 恭介,NHK「里海」取材班
- 発売日: 2015/07/09
- メディア: 新書
多くの国が消費税減税
消費税、海外で多くの国が減税しています。(表「赤旗」日曜版10/10)
日本が不況下で、1年ほど前に消費税を10%に増税。不況下でさらなるコロナ禍で経済が落ち込みました。
各国は、経済対策として、消費税の減税を行い、効果をあげています。
さて、日本は?
国民の声しだいではないでしょうか?
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一部にデフレ化の消費税減税に、中大企業が価格支配力を持ち、小企業・小売りの価格転嫁力が弱いことから、減税に反対する人がリベラル派の中にもいます。
これは、よく議論、検討して、対策をとれると思います。
韓国は、年間売り上げ722万円未満の中小業者の消費税納税を軽減するなどの対策も取っています。いろいろ方法はあると思います。
「人新世の資本論」⑤資本主義-収奪と負荷の外部化・転嫁
斉藤幸平氏は、「資本主義は自らの矛盾を別のところに転嫁し、不可視化する」とのマスクスの考えを紹介し、利潤追求のための三つの転嫁方法を指摘する。
①技術的転嫁、生態系の攪乱ー環境危機を技術的発展によって乗り越えようとする。
商品としての農産物生産のため、地力の回復を待たず作物を植えるので科学肥料をやり、酸性化を防ぐために石灰をまき、病気や虫対策のため農薬をまいて消毒をする。除草剤も同様だ。しかし撒かれた化学物質は、環境ホルモンとして生物の生殖への影響が指摘されているし、ミツバチの大量死で受粉への影響が問題になっている。
②空間的転嫁-外部化と生態学的帝国主義
アポカドは欧米や日本人のためのヘルシー食材として輸出用に南米などでの生産が増えている。
しかしアボカド栽培には大量の水が必要で、土地の滋養も食い尽くし、その後の他の果物などの生産は難しいようだ。
チリのペトルカ地域では、灌漑や地下水をくみ上げて生産し、干ばつにおそわれ住民の飲料水が不足する事態となっている。
1キロのアボカド栽培に必要な水は2000㍑と言われ、トマトの10倍だそうだ。アボカド1ヘクタール栽培には毎日10万リットルの水が必要で、1000人が1日に使う量と同じといわれている。(下の記事参照)
先進国の豊かな消費、「ヘルシー」食材のため、周辺部地域の住民の生活が困難になるなる事態。
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③時間的転嫁
過去の環境破壊は、森林の過剰伐採や工場や鉱山などからの海や河川の汚染で即時的に被害が現れた。しかし現在おこっている気候変動は、何十年度に大きな影響が表れ、地球規模なので気づいた時には手のほどこしようもなくなる。これは未来からの収奪にあたる。
プラスチック問題も、未来はどうなるのか? 子どもたちが様々なルートで摂取する事になる。 しかし私も毎日、プラに囲まれた生活、、暗澹たる気分になる。
将来世代につけをまわしながら現在世代の繁栄があるが、未来の人たちに現在を左右する投票権はない。ここにも加害と被害の関係があり、気候正義が問われ、現在世代の責任が問われる。
そして子たちは、その責任を問う権利がある。
学術会議委員の任命拒否-憲法23条「学問の自由」
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学術会議の会員の任命拒否問題。
またまた、自民党政権の下で、問題が提起され、国民が勉強すべき課題が突きつけられている。
国家権力と国民の関係性の普遍性を象徴するような国民への課題提起です。
集団的自衛権の問題や憲法改悪の問題がなければ、私も学ぶきっかけをつかめなかった。ありがとう自民党。
橋下徹氏の言説、これまた、勉強になる。日本において、表現の自由や内心の自由に加えて、なぜ学問の自由-憲法23条が書き込まれる必要があったのか?
戦前に学問の自由が侵された事を皮切りに、国民表現の自由が奪われ、戦争に盲目的・狂信的に協力させられていった。その反省から、特別に日本において23条がある。
学問や研究の自由は同然だが、学問や研究を交流する専門家集団の学術団体、共同体の独立を保つためである。
当然、事実や、真理を追究する立場と、時の政治権力のめざすものは違ったり、対立する場合がある。政治には利害があるが、国民のためにそれを是正するのは事実や真理や公平性や民主主義や人権などだ。その担い手として国民が託しているのが真理を求める学者や研究者であり学問の自由だ。
木村草太教授の話が分かりやすい。
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