サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「人新世の資本論」④プラネタリウム・バウンダリー

 「人新世の資本論」の続きです。
 プラネタリウムバウンダリー=「地球の限界」という言葉があります。
globe.asahi.com
 人類が、とりわけ産業革命以来、どれほど生産し、消費し、廃棄し、地球システムに影響を与えてきたか?
 WWFジャパンのhttps://www.wwf.or.jp/activities/data/201810lpr2018_jpn_sum.pdf#searchの資料から紹介します。
f:id:adayasu:20201006145207j:plain:right 温室効果ガスの濃度上昇、気温上昇、海洋酸性化、熱帯雨林の消失、陸上・海洋生物圏の劣化など、とどまることを知らない負荷を与えている。
 まさに限界を迎えているか、もうすでに超えているといわなければならない。
 その要因として、人口、GDP、エネルギー、交通、肥料、国際観光など、人類活動の飛躍的な上昇がある。
 これほどの物質的生産と消費・廃棄があるのに、人々は本当に幸せなのか?
f:id:adayasu:20201006145626j:plain:right 私たちは毎日毎日、無数の広告を見せられ、感情を、欲望を刺激され、商品を欲しがっている。本当に必要ではないものまで買って、少し使って捨て、また食べ散らかし、またまだ食べられるものまで捨てている。
f:id:adayasu:20201006145200j:plain:right そしてその商品を買うために、長時間労働に追い立てられ、家族とゆっくり食事をし、子どもと遊び、余暇と楽しむ時間も奪われている。
 未来をみれば、温暖化がある一線を越えて暴走し、灼熱地球、河川と海からの洪水、多様な生物種の絶滅、水と食料を確保ができない子どもたちを想像できる。
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 犠牲の多くは、未来では子どもたちに、現在では途上国や先住民など、弱い立場の人たち。 
 こんな社会の根源に資本主義の経済社会システムがあり、これを変えないと地球と人類の危機は回避できない。

人新世の「資本論」 (集英社新書)

人新世の「資本論」 (集英社新書)

人新世の資本論③ 脱成長

f:id:adayasu:20200925213207j:plain:w290:right この本が刺激的なのは、斉藤氏がSDGsを、目下の危機から目を背けさせる「大衆のアヘン」のようなもと言っていることだろう。
 私もそこまでは思わないが、日本においては特に、行政も企業も鮮やかな広告宣伝ばかりが目立ち、石炭火発の廃止とか再生エネへの転換とか、正面から課題に取り組んでいないと思うからだ。
 しかし多くの人は、環境対策をなんとなくやっている気分になりがちだ。
 「人新世」-人類が地球に地質学的な痕跡を残しつつある時代への認識が大事だ。典型的なのは温室効果ガスの排出で大気の組成を変え、地球全体の気温上昇が続いていることだ。産業革命以前、大気中のCO2濃度は280PPm以下だったが、今や415ppmまで上昇し、気温も1.1℃ほど上昇している。
 400PPmだった時代は、今から400万年前までさかのぼり、気温は2~3℃高く、グリーンランド西南極も氷床が融け、海水面は最低6メートルから十数メートルも高かったと古気候学は指摘している。
f:id:adayasu:20201004184328j:plain:left そんな事態に陥ることを避けるには、1.5℃以内にとどめる必要があり、その為には、あと10年で温室効果ガスの排出を半減し、30年後には実質ゼロにしなければならない。
 過去を振り返れば、1988年に温暖化対策を強めるためにIPCCが設立されて、すでに32年間もたってしまったが、温室高ガスは増加の一途をたどっている。
 話題となった「不都合な真実」のアル・ゴアIPCCノーベル賞を受賞してからも13年がたった。
 それなのに何故、いまだに温室効果ガスの削減が進まなかったのか? また、今後の社会のあり方はどうすべきなのか?
 この問題を斉藤氏は、晩年のマルクスの立場から解明し、新しい提案--資本主義に代わる「脱成長コミュニズム」を唱えている。
 私も斉藤氏の考えに出会う前までは、マルクス(日本のマルクス主義者が)は生産力の果てしない上昇を目指していて、環境への負荷、地球の限界を考慮しないでいることに強い疑問を持っていた。
 「ローマクラブ」の「成長の限界」などを読みながら、有限の地球において無限の成長はありえないと--。
 SDGsは「持続可能な開発」だが、途上国も含め自然破壊の開発はやめて、環境負荷を減らす、少しでも元に戻すことこそ必要と思っていた。
「脱経済成長」はそんな思いにピッタリだ。現在の経済成長は格差拡大や自然破壊を進めており、しかし多数の人々の幸福につながっていない。
 人類全体では、有り余る物質を生産していながら、人々は休まず忙しく働きつづけて時間に追われ、家族でゆっくり食事をする時間もなく、人間的な幸福を感じていない生活状態の人々も多い。
 それらの根本に資本主義というシステムの問題が横たわっていると、様々な例を挙げて示し、その転換を求めているのが斉藤氏だ。

新人世の資本論②

f:id:adayasu:20201004184328j:plain:right  斉藤幸平氏の「新人世の資本論」もう少しで読み終わる。
 マルクス主義者の端くれの私は、14~5年前から地球環境問題に目覚め、その立場から自問し、これまで習ったマルクス主義の内容に疑問を持っていた。
 こうじゃないか、あーじゃないか、という疑問に、斉藤氏の本を読むと、ほぼほぼ、「自分が思った通りだった」とわかり嬉しく思っている。
 ブログのサイドのカテゴリー「現代マスクス主義」を見てもらえばわかる。
 ただ残念ながら、私の周辺で斉藤幸平氏について語る人はほとんどいない。
 私からすれば古い、遅れた、いわゆる「古典」学習に満足し、現在、人類が直面する緊急かつ重大問題にマルクス主義の立場から解明と対策の提案に挑まない事に強い疑問を持っていた。
 マルクスは、現代マルクス主義者は、最重要課題である気候変動・地球環境問題に対する理論的挑戦が全くない事は怠慢であるとさえ私は思っていた。
 しかし斉藤氏は、晩年のマルクスの研究から、マルクスが労働力の収奪とともに、自然をも収奪をし、持続不可能になるとの資本主義の問題点を示していた事を明らかにし。
 また、今回の本では、気候危機を回避する未来社会の現実的な在り方も提案している。
 私はマルクス主義者のササクレ程度だが、あらためてマルクス主義者であってよかったと思っている。
 何回かに分けて、この本の内容を紹介したい。

トランプ大統領、コロナ感染 考

f:id:adayasu:20191105201836j:plain:w200:left トランプ大統領のコロナ感染で、大統領選への影響が注目されているが、ホワイトハウスの機能にも影響が出そうだ。
 CNNによれば、ケリーアンコンウェイ米大統領顧問も感染した。コロナの陽性反応が確認された政権の中枢人物や政治家らは6人になった。
 10月26日の米連邦最高裁判所の新判事発表のホワイトハウスでの行事に出席していたそうだ。そのほかトランプ氏と同行していた記者らも感染した。
 これでは、感染がもっと広がり大統領行政府の執務にも影響が出そうだ。
 イギリスのジョンソン首相、ブラジルのボルソナロ大統領、トランプ大統領と、似たような政治をする政治家の感染…。自己責任……
 とは、あえて言うまい。世界中の感染者同様に、トランプ氏も早い回復を願いたい。
 そして正々堂々と大統領選とたたかい、バイデン氏に負けてほしい。
 コロナのせいで選挙に負けたと言わさないように。
news.yahoo.co.jp
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 トランプ大統領の主治医が病状や治療について発表している。
 ここで気づかされるのが、安倍首相の体調理由による辞任だ。
 日本では、安倍首相の主治医が公式に記者会見をし、病状などについては全く発表していないし、記者の質問にも答えていない。
 病状に間違いはないと思うが、、安倍首相の話を国民はそのまま信じるしかない。
 しかし、国家の責任者で公的な立場にある首相の体調上の政権責任能力について、主治医の医学的な説明がなされないは異常な事だ。
 この点を指摘した報道にもお目にかからない。
 実は私も、平野貞夫参院議員の動画で知った程度で世間全体、日本の非常識に気づかないでいた。

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海水温上昇、上下で分離

 海水温が上がるといろいろな事が起こるようだ。
 ネイチャーへの研究グループ発表(「赤旗」9/29掲載)によれば、海の上層部分の温度が上昇し、下層との分離が起こるそうだ。
 太陽光で温められると海水温が上がって軽くなって沈みにくくなり、下層と混ざりにくくなるという。
 その結果、上層部は二酸化炭素の吸収が弱く、生物生産量の低下が予想されるとのこと。
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 下は、世界気候アクション0925の熊本と鹿児島の記事を紹介します。
 写真、カラーなら良かったのに。
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