サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

台湾有事と日本の危機①

 「台湾有事と日本の危機」(PHP新書)を読んだ。
 著者は、峯村健司キャノングローバル戦略主任研究員。元「朝日」新聞の北京特派員など経験している中国通の人。
 前に「中国『軍事強国』」(文春新書)著者の劉 明福氏を紹介した人で台湾めぐる米中の動向に詳しい。
 結論的には、中国の習近平氏の「台湾統一」は不可避であり、その動きは始まっているというもの。
 で、日本は台湾有事=日本有事なので、戦争に備え、軍民ともの準備を急げというもの。
 他にもよくある「台湾有事→日本有事→軍備拡大」の単純化と同じものだ。
 日本の安全保障といいながら、住民や国民の安全より、国家の安全、米国の安全保障に資する。
 そもそも日本が戦場とならない方策は考えない。
 抑止力を高めさえすれば、相手は引いてくれるという自己都合の考えだ。
 日本の国力の4倍もあり人口も10倍あり、技術力もはるかに追い抜かれている中国を脅して脅せるわけがない。
 「抑止力」とは脅しのことだ。
 「抑止力」で脅せば、強い相手は、それを上回る強い「抑止力」で対応するだろう。
 あとは経済力や技術力がモノを言う。
 軍事力で言えば、中国は核兵器を持っている。
 勝てるはずがないし、脅せるはずがない。
 そこで後ろを振り向いて、大洋の向こうの米国を頼る。
 だが米国は、自国にミサイルが、核ミサイルが降ってくるような戦争をする気はない。中国と本気で戦う気はない。
 そんな事は米国国民が許さない。過去一度も許したことはない。先住民を追い払い、建国以来、領土を拡大するため武力を行使してきた歴史しかない。
 中国は別だ。長く欧米に侵略され、日本にも侵略された。
 その恨みつらみは侵略された国にしかわからない。
 日本はケシカケラレ、勇ましく中国と戦争させられる。
 米国の目的は、中国の台頭を許さない事だ。ウクライナ戦争でロシアの戦力、国力を削ぐ事がウラの目的だ。
 台湾めぐって、日本が中国と戦争し、中国が疲弊してくれれば、覇権国米国の地位は守られる。

 峯村氏の本で学ぼうと思っているのは、米中の実際の動向、シミュレーションの内容だ。
 小原凡司氏と同じように、中国に詳しいからだ。