サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

台湾有事と日本の危機③ 米華相互防衛条約

「台湾有事と日本の危機」(峯村健司著PHP新書)のつづきです。
 著者は、米中の国交正常化について1979年のことを書いている。
 なぜベトナム戦争に行き詰った打開策として始まった1971年のキッシンジャー訪中、翌年のニクソン訪中から「一つの中国」が始まった事を書いていいないのかわからない。
 あいまい戦略で米国は「中華人民共和国は中国を代表する唯一の合法政府」としながら、「台湾はただ一つで、台湾は中国の一部であるという中国の立場」について「米国は認識する」との立場をとった。
 同時に「台湾関係法」を制定し、「平和手段以外で台湾の将来を決定しようとする試みは、いかなるものであれ、地域の平和と安全に対する脅威」と台湾の自衛のための兵器提供を盛り込んだ」とし、防衛義務はないが状況によるとする「曖昧戦略」がとられてきた。

 台湾関係法の条文を見ると、
(3)合衆国の中華人民共和国との外交関係樹立の決定は、台湾の将来が平和的手段によって決定されるとの期待にもとづくものであることを明確に表明する。
(4)平和手段以外によって台湾の将来を決定しようとする試みは、ボイコット、封鎖を含むいかなるものであれ、西太平洋地域の平和と安全に対する脅威であり、合衆国の重大関心事と考える。
(5)防御的な性格の兵器を台湾に供給する。
(6)台湾人民の安全または社会、経済の制度に危害を与えるいかなる武力行使または他の強制的な方式にも対抗しうる合衆国の能力を維持する。
www.y-history.net
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 米華相互防衛条約は、東西冷戦時代、在日米軍基地を含む米国の対中国軍事包囲網の一つであり、蒋介石政権が台湾に逃れてからも台湾政府・中華民国政府に米軍基地を置き軍事支援を行ってきた。それがベトナム戦争の疲弊などを経て政策変更を行い「台湾を中国の一部」とした戦略変更を行い、今日、またその戦略を変えようとしていると思える。
 歴史を振り返るのは大事だ。強者は、過去を忘れるが、弱者は覚えている。
 台湾は日本が中国から戦争で奪い、米日戦争では戦場ともなった。日本が戦争に負けて中国に戻したが、中国が分裂。台湾側を中国政府としていたが、田中角栄訪中で、日本も台湾を国家として認めない立場で中国と国交を回復。
 現在は、中国を敵視し、中国、台湾に近い南西諸島の軍事化を急いでる。
 いうならば軍事力や国力で事を制しようする態度があからさまと言える。
 国力、軍事力を強めてきた中国は武力で台湾を併合すべきではない。
 同時に、日本の米軍基地から空母を台湾海峡に送り込んで、中国を威圧してきた米国の軍事介入の誤りも認めなければならない。
 双方とも国家として、国力、軍事力を事を決しようとする態度を改め、対話や住民の安全を第一にする立場に立つことが必要だ。
 しかしそれを実現するのは、対話による諸国民の主権の発揮によると考える。
 (写真:1960年6月に台湾を訪問したアメリカのアイゼンハワー大統領と台湾の蔣介石総統)