サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「森林に何が起きているのか」③林業の再生・発展を

 「森林に何が起きているのか」のつづきです。
 著者の吉川賢さんが指摘している、「田舎の方の子どもたちが自然に触れる機会が少ない」は、そういう気がする。(写真:木場集落)
 焚火をしたことがない。木に昇ったことがない。生き物を捕まえたことがない。だいたいいろんなものは、店に並んでいるものを親が買ってくる。
 都会では自然に触れく機会が少ないので近郊に遊歩道があったり、家族に連れられて落葉も鳥の鳴き声も体験している。
 そんな努力をしている親も多い。

 しかし豊かな自然に囲まれた田舎は、あえて自然に触れる場所が必要と思われず、ヘビも狸も見たことはない場合が多い。確かにそんな気がする。
 つまり先入観を知り先入観を持たないようにして、自然との付き合いを見つめなおすことが大事だと著者。
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 林業を、持続可能な、しかも営林が成り立つあり方で進めれば、CO₂の固定化に十分役立つ。これもしっかり知る事が必要だ。
 
 世界の4000万平方キロメートルの森林は、毎年約5万平方キロメートルも失われている。
 40年生の杉の木1本には300kgのCO₂が蓄積され、1年間に9kgも吸収・蓄積されるという。
 日本の一般家庭から1年間に排出されるCO₂は4500kgで、この杉の木15本に相当する。
 で、このCO₂を取り込んだ木材を建築資材とか、プラスチックの代わりに様々な材料として利用すれば、その分大気からCO₂を取り除くことがでいる。(図:同書)
 2019年の日本の木材自給率は37.8%しかない。食糧自給率と変わらない。
 これらはいずれも海外からの輸入に頼っている。日本の農山村を荒廃させた原因がここにある。
 しかし今や日本は、貧しい国に転落しつつある。その結果は円安の現れている。
 これから化石燃料はもちろん、食料品も木材も、輸入品はすべて高くなっている。炭素税などができればなおさらだ。
 逆に今、日本には森林・木材資源が豊富だ。この資源を利用する政策を政権は行うべきだ。
 林業が成り立ち、国産素材がいきわたり、地球環境にもよく、教育・文化にも大事な方向に今こそ切り替えるべきだ。