サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

ドローダウン・温暖化逆転-森林②

 久しぶりに「温暖化を逆転させる-ドローダウン」の紹介です。
 温室効果ガス削減の中心は化石燃料からのCO2ですが、それ以外にも重要な排出削減の対象があります。
 地球はシステムとして炭素などの循環をしていますが、炭素の少なくない部分が森や土の中に、つまり自然の中に自然のままあります。
f:id:adayasu:20190727185725j:plain しかし人間による森林破壊や土地改変で、これら眠っている炭素がCO2となって大気に出て行っています。その量は膨大です。化石由来と同様に排出を止め、そして逆転させ、吸収源へと変える事が重要です。
 2015年に世界の樹木総数は、推計3兆本だったそうですが、毎年150億本の木が切り倒されているようです。そして人間が農耕を始めていらい、地球上の木の総数は46%も減少したとか。
 確かに、今は熱帯雨林や寒帯林の消失が問題になっていますが、中緯度の温帯林は先進国がはるか昔に切り倒し、農地や都市に変えています。
 温暖な地域で地球上の樹木を先行して伐採し、豊かになった先進国の責任として、いま伐採を行っている熱帯や寒帯の森林を守るためにできることは、数多くあると思います。
 途上国の人たちが森林を伐採をして木材を先進国に売ったり、農地に変えて農産物を輸出しなくて済むように、地域に根差した別の産業や生計を先進国側が保障することが求められていると思います。
 ある推計では、世界の軍事費の約3%-500億ドル(日本の軍事費以下)で熱帯の森林減少は2/3減らせるとのことだそうです。
 私としては まず輸出入に当然のコストをかけることだと思います。炭素排出コスト(税)をかけ、炭素吸収に付加価値をつけること。
 気候変動と災害をもたらす過剰な温室効果ガス排出には当然、加害と現状回復の責任があり、それを価格にコストとして含めるのは当然のことです。また、温暖化や災害を減らす温室効果ガスの吸収には、便益として価値をプラスするのも当然です。
 したがって化石燃料を使ってCO2を排出しながら人と物もグローバル移動を繰り返す商品は、その分を加味して高い価格となります。先進国の人々は大量には買えず、大量消費・廃棄もできなくなります。
 逆に、食もエネも素材も地産・地消が進めば環境にやさしくなり、森林や環境負荷の小さい農業は温室効果ガスの吸収源として、今よりはるかに収益があがり環境を守る事が広がります。そのことが人間のあるべき姿でそこに人間の幸福があると思います。
 もっとも先進国でも途上国でも、富裕層が一般市民よりも何倍も何十倍も負担すべきです。
www.dw.com