サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

カール・マルクス-佐々木隆治②

 カール・マルクス佐々木隆治著)のつづきです。
 マルクスが提唱した社会主義が、世界に広がっている教科書的な理解では、共産主義者が政権をとった国家が生産手段を国有化し、計画経済をおこない、平等な分配を実現する、とされている。
 これはスターリンが、社会主義ソ連社会主義のモデルとして内外に押し付けたもので、一般にそう思われている。
 そのソ連の失敗をみて社会主義はダメだと多くの人に思われている。

 佐々木隆治氏は、このような「社会主義」は、マルクスが考えた社会主義とは全く違うとし、本来の考えを以下に示している。
社会主義とは、政党が政権を取り「生産手段の国有化」を宣言してできるものはない。歴史的なプロセスを前提とした客体及び主体的条件の成熟が必要。
②生産手段を国有化し、計画経済を行うだけでは資本主義的生産様式を廃絶できない。生産様式のあり方を根本的に規定するのは、労働のあり方であり、人間たちが私的個人に分裂したままでは、生産手段を国有化しようとも生産の私的性格は根本的には変わらず、商品も貨幣も廃絶されない。生産手段の国有化だけでは、資本の担い手が私的個人から国家官僚に移行するだけで、労働者は賃労働者であることに変わりはない。ソ連はそんな資本主義の変形ヴァージョンだという。
 では、マルクスが描いた未来社会の共産主義社会とは?
 マルクスの「フランスの内乱」---「協同体の連合体が一つの共同計画にもとづいて全国の生産を調整し、こうしてそれを自分の統制のもとにおき、資本主義的生産の宿命である不断の無政府状態と周期的な麻痺を終わらせるべきものとすれば--『可能な』共産主義‥‥」と書いている事を紹介。
 マルクスの描く未来社会の共産主義社会は、労働者たちのアソシエーションである共同組合が互いに連合し、社会的生産を調整し、アソシエイトした生産者たちが、アソシエイトした個人として生産手段を所有しているので他人労働の搾取は存在しない、としている。

 ふむふむ。生産手段の国有化と生産手段の社会化は違う。生産手段の社会的所有は、社会とともに、働く個人の所有でもある。