サスティナビリティ考

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中国「軍事強国」への夢④ 米内戦勝利の成果-中国も

中国「軍事強国」 のつづきです。
 南北戦争で北部側が政治的優位に転換するうえで、閣僚を説得までして行ったリンカーンの外交戦略が功を奏したようだ。奴隷解放宣言を期に、南部側を支援する動きがあったイギリスを外交的に軟化させ、フランスなどを味方につけた。
 著者の劉氏は、その辺の分析も鋭い。北部側の軍事的な勝利も経て、

  内戦への勝利に結果、米国には三大成果があっとする。
①「祖国に忠誠に、永遠に分裂しない」という価値観の形成
 南北戦争の記念碑には、以下のように刻まれていると紹介する。
「4年を要したこの戦争で、62万人が亡くなった。この62万の命の代償に、統一という成果を得たことを記憶しておくために、米国すべての国民の誓いの言葉には、『祖国に忠誠に、永遠に分裂しない」という文言が自由や公平よりも前に記されている。国民の誓いの言葉は米国人のソフトパワーを結束させている。米国人は『祖国に忠実に、永遠に分裂しない』ことをすべての国民にとっての政治信念と根本理念として据えている。米国の団結と統一に長期的かつ持久的な精神的支柱をもたらしているのである」
 ②国家としての戦略的地位の大幅向上
 南北戦争後、奴隷制の廃止と太平洋地域の開発によって、米国の資本主義経済と対外貿易は急速に発展し、世界市場に対する需要も高まり国力も増した、と。
③米国史発展の新時代を開拓
 政治体制が中央集権制から地方分権性へと移行、農業主体から、鉄鋼会社を中心とする工業国へと生まれ変わった。
 そしてモンロー主義を捨て、対外進出へ大国へと進んだ、と。
 内戦に勝利して統一を回復して発展した米国の、このモデルを踏襲し、台湾の統一を実現し、中国も発展しようというのだから、中国国民には受ける話だ。
 また、これに干渉しようとする米国をけん制する論理としても説得力を持つ面がある。
 (写真ウィキ:米アーリントン墓地。南北戦争の戦死者の墓地として始まった戦死者の墓地)