サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

それでも、日本人は「戦争」を選んだ①「人民の、」

 加藤陽子氏の「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」を読んでいる。
 それまで加藤陽子さんは知らなかったし、著作の「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」も知らなかった。
 菅政権が、学術会議の推薦を受けたのに、委員に任命をしなかった一人が加藤陽子さんだったので、気になったいた。で、今回、この本を買って読んでいる。
 中高校生向けの、質疑をしながらの講演をベースとしているので、事件や時代の考察経過がとても面白くわかりすい。
 歴史の見方について、いろいろ考えさせられている。
 ひとつ紹介すると、リンカーンの有名な演説、「人民の、人民による、人民のための政治」。
 民主主義の基本原則を述べたもの程度の私の記憶だったが、もう少し深刻で複雑だった。
 加藤さんは中高生に、「リンカーンがこのような理想に言及しなければならなかった事情を25字ぐらいで書いて下さい」問うている。
 南北戦争、ポイントは2つ。  そういえば、南北戦争だった。

南北戦争中に、北側の人々の戦意高揚のためだそうです。
 演説場所のゲティスバーグは、南北戦争の大きな山場で双方多大な犠牲者だして北軍(死者2万3000人)がやっと勝った場所。生き残った兵士や政府関係者の前で、戦場に倒れた兵士への哀悼とともに、戦争への厭戦気分を払いのけ、生き残った者こそ、これから国家建設に従事しなければならない、という気持ちにつながるよう‥‥。
②北部の連邦政府の正当性を訴えるため。なるほど。
 分断された国家の再統合、さらに大きな目標となる新国家建設を掲げることが求められる‥。
 加藤さんがまとめると「戦没者を追悼し、新たな国家目標を設定するため」とすれば、2つのポイントを入れて22字ぐらいになる、と。さすが。
 歴史の見方について一つ学んだ気がする。戦争終結、敗戦、勝戦時に、指導者が演説をする。その原稿を考える際のポイントが分かる気がする。
 いま行われているウクライナ戦争。停戦、終戦時に、プーチン大統領が、ゼレンスキー大統領が、どんな演説をするのか?
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 <ウィキペディアより/写真も>リンカーンの演説。
(87年前、我々の父祖たちは、自由の精神に育まれ、人はみな平等に創られているという信条に捧げられた新しい国家を、この大陸に誕生させた。 今我々は、一大内戦のさなかにあり、戦うことにより、自由の精神をはぐくみ、自由の心情にささげられたこの国家が、或いは、このようなあらゆる国家が、長く存続することは可能なのかどうかを試しているわけである。われわれはそのような戦争に一大激戦の地で、相会している。われわれはこの国家が生き永らえるようにと、ここで生命を捧げた人々の最後の安息の場所として、この戦場の一部をささげるためにやって来た。我々がそうすることは、まことに適切であり好ましいことである。 しかし、さらに大きな意味で、我々は、この土地を捧げることはできない。清め捧げることもできない。聖別することもできない。足すことも引くこともできない、我々の貧弱な力を遥かに超越し、生き残った者、戦死した者とを問わず、ここで闘った勇敢な人々がすでに、この土地を清めささげているからである。世界は、我々がここで述べることに、さして注意を払わず、長く記憶に留めることもないだろう。しかし、彼らがここで成した事を決して忘れ去ることはできない。ここで戦った人々が気高くもここまで勇敢に推し進めてきた未完の事業にここでささげるべきは、むしろ生きている我々なのである。我々の目の前に残された偉大な事業にここで身を捧げるべきは、むしろ我々自身なのである。 ――それは、名誉ある戦死者たちが、最後の全力を 尽くして身命を捧げた偉大な大義に対して、彼らの後を受け継いで、我々が一層の献身を決意することであり、これらの戦死者の死を決して無駄にしないために、この国に神の下で自由の新しい誕生を迎えさせるために、そして、人民の人民による人民のための政治を地上から決して絶滅させないために、我々がここで固く決意することである。)