中国「軍事強国」への夢- のつづきです。
著者の劉 明福氏が、中国の台湾統一をめぐって、武力の可能性の正当性を説くのは、米国の統一戦争を示しての事だ。
1861年、米国における南北戦争で、リンカーン大統領はどうのように統一戦争を進め、勝ったかが、米文献をもとに再現されている。
戦争は4年間もつづいた。
犠牲者は、北部側では36万4511人が亡くなり28万1881人が負傷し、死傷者総数は64万6392人に上った。
南部側は、26万人が死亡、負傷者20万人、死傷者総数は46万人だった。
南北あわせて62万4000人が亡くなった。
この数は、第一次・第二次大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争での合計死者数よりも多いと劉氏は指摘する。
当時の米国の人口は3100万人で、50人に1人が亡くなり、64人に1人が負傷したと。
多大な犠牲の上に北部が戦争に勝って分裂から統一を成し遂げたリンカーン大統領は、直後に銃撃され暗殺された。
米国の統一戦争は、米国史上非常に重要で困難だったが、政策決定者は、これに果敢に挑み、いっさいの代償を惜しまず、戦争に打ち勝った。(写真:ウィキ)
「統一は平和よりも尊し」--国家の統一は何よりも尊く、何としても分裂に反対するという原則を米国は体現した。
リンカーン米大統領は、米国民はもちろん、世界的にも優れた政治指導者と語られている。その政治家を称えながら、中国の台湾統一の道理を説く、なかなかである。