「資本主義の次に来る世界」のつづきです。
「ジェボンズのパラドックス」、意味合いは聞いた事があったが、言葉としては初めて知った。「カッシューム・ブルックス仮説」というのもある。
技術革新、効率化を進めれば、資源利用は少なくなる、というのが一般的な考え方。
しかし、単純にそうとも言えない。エネルギーでも、さらにはその元でもある資源についてはなおさら。(写真-W・ジェボンズ:ウィキベテア)
技術によって効率的になると、一時的には総使用量が減るが、すぐにリバウンドする。なぜなら企業が再投資して、経済成長につなげ、利益を上げようとするから。これは資本主義の宿命であり本質でもある。デカップリングは起きない。特に地球単位では。
著者はチェーンソウの例を紹介している。
手作業の10倍以上の効率で木を切るチェーンソウを導入した業者は、伐採し時間が余ったら従業員を休ませないでさらに多くの伐採をさせる。つまり「より少ない時間で同量の仕事を行うのではなく、同じ時間でより多くの仕事をこなす」ために機械が使われている。
フェイスブックなどGAFA(ガーファ)は、アルゴリズムによって人々にどんどん広告を見せ、欲望を駆り立て、たいして必要でもない商品を買わせている。(当ブログでも広告がいっぱい)
その広告で巨大企業に成長した。
この数世紀、並外れた技術革新が起こったが、労働時間は減らず、資源もエネルギーもやりたい放題に使い、最後は廃棄して地球に取り返しのつかない負荷をかけている。
著者の結論。
テクノロジーが問題ではなく、本質は成長を求め続ける資本主義にあるとする。
成長を中心としない経済ならば、テクノロジーを地球への負荷を減らし、回復させるものへ変えることができる。人間の真の幸福と、それに不可分の生態系の回復のために。
資本主義から新しい、経済社会への移行が急がれる。