サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「資本主義の次に来る世界」-グリーン成長の問題点⑧

「資本主義の次に来る世界」のつづきです。
 私も一時期、グリーン・ニューディールに期待していた。化石燃料経済よりましだと思ってー。
 でも、成長と不可分なら解決には程遠く、問題の先送りにしかならない。
 著者は言う。
 「世界経済が今のペースで成長し続けたら、今世紀半ばまでにその規模は2倍以上になる」となると、「現在行っている採取・生産・消費は2倍になり、最終消費エネルギーも2倍近くに増えるだろう」と。
 ICPP報告によれば、2℃以下を維持するなら年率7%の削減、1.5℃以下だと年率14%の脱炭素が必要となる。
 これでは、とてもムリ。エネルギー消費を少なくするには、成長し続ける事をやめなければならない。特に先進国は。

 さらに、クリーンエネ、再エネの拡大は当然のごとく、土地利用を初め自然に負荷をかける。
 2017年に世界銀行は、2050年までに年間7テラワットの電力を賄う太陽光・風力発電建設に必要な金属量を報告している。
 これは現在の世界で必要とする電力の半分弱なので2倍にすると、再エネ100%を実現できる。
 その結果、3400万トンの銅、4000万トンの鉛、1億6200万トンのアルミニュウム、480億トン以上の鉄が必要となる。電池に必要なリチウムは4000万トンで現在の2700%を上回り、その他の希少金属も相当な量を地下から掘り出さなければならない。
 現在、世界中に出回っている自動車を電気自動車に替えるためには、銅の採掘量が2倍、コバルトは4倍となる。経済成長のためにと、さらに電気自動車を増やせば資源もエネルギーもキリがない。
 こういった経済成長のための金属採取の鉱山は、森林を切り開き、生態系を破壊し、さらに地球への負荷を高め、温暖化を加速させる。(写真・風力発電:ウィキベテアより)