元自衛隊幹部が書いた台湾有事と日本の安全保障(ワニブックス新書)を読んでいる。
軍事の専門家が書いた本なので、下手な批判はできないけど、とりあえず挑戦してみたい。
まず「帯」で、大きく
「さよなら韓国! ウェルカム台湾!」と書いてある。
3年前、2019年の出版なので、韓国は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の頃。
日本とイザコザはあった頃だとしても、保守系の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領に代わっている今となっては、なんとも韓国に対する激しい表現で、訂正しないでいいのだろうか?とさえ思う。
1章は、米中覇権争いと中国の安全保障戦略---。
まず、米中対決の問題ではよく出てくる「トゥキュディデス の罠」がある。
新たな覇権国が台頭し、既存の覇権国の懸念や対抗心が生まれれば戦争が不可避になるという古代ギリシャの歴史家トゥキュディデスが唱えたもの。
挑戦国の経済力や軍事力が既存の覇権国の2/3を超えると、戦争になりやすいらしい。前にブログに書いた事もあるadayasu.hatenablog.com。
中国は、覇権国アメリカがアフガンやイラクへの侵略戦争にかまけている間に、「中国製造2025」を打ち出し、ハイテク分野を中心に、2049年までに「世界の製造大国」を実現するため着実に歩みを進めている。
そういった中国の追い上げに不安を持ったアメリカのトランプ大統領は、中国の挑戦を退けるためにファーウェーつぶしをはじめとした経済制裁を行ってきた。軍事的にも同様の対決の姿勢をとる。それにどう明国として、日本が協力させられる。
この本の著者らの一貫した立場は、覇権国アメリカの立場にたって物事を組み立ている事だ。当然、アメリカは自国の国益を優先して、外交も軍事戦略も練っている。必要な場合は利用も共同もするだろう。
しかし日本の国益とアメリカの国益は、一致しない場合もあるし、国民の利益との関係では、なおさら一致しない場合がある。しかし彼らは、盲目的、能動的に米国に依存しようとしている。