五味さんの著書-「朝鮮戦争は終わらないのか」のつづきです。
韓国軍を動かす指揮権は、朝鮮戦争の経過から米軍がもっています。
独立国なのに、軍を動か権限が自国にない… 不思議です。
実は日本も同じですが、日本の場合は「指揮権」密約として国民に隠されています。指揮権の実行の担保は、日米合同演習、米指揮権の元に実際に動く訓練です。陸海空、しょっちゅうやっています。
しかし韓国国民は十分知っていますし、平時の指揮権は取り戻しています。
そして非常時、戦時の場合の指揮権も取り戻そうと歴代の政権が努力してきました。
2010年に、北朝鮮が韓国の延坪島(ヨンピョンド)に150発も砲撃し、死者もでる事態になりました。
当然、韓国側も反撃の砲撃を行いました。
そしてF15KとKF16戦闘機を出撃させました。
ところが何もしないまま、戦闘機は帰ってきたそうです。
当時の李明博大統領は、「出撃した戦闘機が(北朝鮮を)爆撃することはできないのか」と関係者に聞いたとのこと。(韓国の新聞報道)
爆撃を止めさせたのは、米国の高官。北朝鮮との戦争になる事を防ぐためでした。
オバマ政権の時の事で、ゲーツ国防長官らが直接、韓国側を説得したそうです。「当初韓国が計画した報復攻撃には、空爆と砲撃がふくまれており、アメリカ側からみれば不均衡に攻撃的だった」(ゲーツ国防長官回顧録)。
つまり韓国軍は有事の際に、独自の判断では動けない事になっています。戦争になれば、北朝鮮と同じような壊滅的な被害を被る当事者なのに。
韓国も憲法上は、大統領に韓国軍全軍の最高指揮官を兼務しています。
しかし戦時の作戦統帥権は、米韓連合司令部に委任されており、戦闘機による爆撃や攻撃は、司令部の決済が必要になっている。(このあたりはP211〜を参照いただければ)
もともと朝鮮戦争の時、韓国は、不意を突かれて南進してきた北朝鮮軍を押し戻すために、米軍に頼らざるを得ませんでした。
軍事作戦の指揮権を国連軍(多国籍)・米軍に委ねる事が必要で、休戦協定も、北朝鮮と米国・中国の3者で結ばれ、韓国が入っていなかった経緯もあります。
しかし、それから60数年たちました。経緯はどうあれ、もし戦争が起こる場合、甚大な被害を被るのは韓国です。その韓国に、自国軍の指揮権がないと言うのもおかしな話です。
米国が自国の国益のために、韓国に相談なしに勝手に北朝鮮への先制攻撃をやったら韓国はたまったものじゃありません。
また米国はベトナム戦争時にはトンキン湾事件などでっち上げもやってきましたので、どんな理由でも戦争は避けなければなりません。
在日米軍・国連軍の司令部は、横田基地にあり、朝鮮での戦争の時には、日本の米軍が一斉に動きます。日本も戦争参加国となり、国民は北朝鮮から反撃される覚悟が必要です。
その辺の覚悟が国民にない気がします。知らされていないからでしょう。
しかし「知らなかった」で済まされるでしょうか?
北朝鮮について「微笑外交」「目くらまし」などの報道ばかりですが、プロパガンダは両方でしょう。

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