サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

脱成長-ヨルゴス・カリス

 どこの新聞だったか「資本主義の先に」の特集があり、バルセロナ自大学のヨルゴス・カリス教授のインタビューがあった。面白かったので紹介する。

 経済成長、GDPが大きくなることが豊かになる方法?。 このGDP信仰からの決別。
「あなたが自分の弁護士と結婚したとする。これまで報酬を払っていた仕事をただでやってくれるようになれば、GDPは減る」
重油流出事故が起きて処理に追われれば、GDPは増える」
 GDPは、米経済学者のサイモン・クズネッツが主導して開発した。
 もともとは、米国政府が第二次世界大戦の戦費調達のための統計だったらしい。クズネッツは、経済的な豊かさを測るためには、軍事費や投機など、豊かさにつながらな支出を計算から差し引くべきと主張したらしいが、米政府は譲らなかった。
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ーー成長は貧困や格差をなくために必要では?
「もしそうなら、米国や英国から貧困はなくなっているでしょう。しかし、今でも1970年代と変わらず、人口の1~2割は貧困状態になります。GDPは何倍にも増えているのに」とカリス氏。
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ーー脱成長より「グリーン成長」を目指すべきでは?
「グリーン成長というのはもうひとつの大きな幻想です。成長とは、安い原価で利益を最大にし、その利益を投資してさらにもうけるプロセスです。安い原価とは、自然を可能な限り安く利用し、人々にできるだけ低い賃金を払うことです。---3%の成長とは、経済が100年後に10倍の規模になっているということ。今より10倍の規模の経済と、現状の規模では、どちらが簡単に脱炭素化できるでしょうか。成長そのものがグリーン化の目的に反するのです」--なるほど、なるほど。
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マルクスの『生産力』概念③

 聴涛弘氏の「マルクスの『生産力』概念を捉えなおす」のつづきです。
 史的唯物論について、「エンゲルスの忠告」というのを聴涛氏が紹介していて面白い。
「『われわれの史観は、なによりもまず研究にさいしての手引き』であって『歴史全体が新たに研究されなければならず、さまざまな社会構成体の存続条件が一つひとつ探究されなければならぬであって、‥‥この間では、これまでほんのわずかのことしかなされていません」という。そのうえで、われわれのこの面では、『多大な手助け』が必要なのであって史的唯物論というきまり文句を使って、もっぱら自分自身の比較的貧弱な歴史的知識を大急ぎで体系化』するようなことをしてはならないと警告している(コンラート・シュミットへの1890年8月5日付け書簡)(写真:ウィキペディアより)
 経済学批判の「序言」の史的唯物論については若い頃、教えら、学んだ。民青の学習会でも、原始共産制から奴隷制封建制、そして資本主義から社会主義共産主義への人類の発展は必然だと話してきた。その記憶がまだ残っているが、どうやら「きまり文句」に近い内容も少なくなかったかもしれない。
 若い頃に学んだ記憶だけでは、ダメだな。可能な限り最新の知見を取り入れないと恥ずかしい思いをする。
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 今日では、コモン型の社会主義共産主義に向かう前に、気候変動で人類絶滅は危機に瀕する可能性が高い。資本主義のまま、文明崩壊に直面する可能性もある。科学者は繰り返し、絶滅を警告している。
 なんとしても気候危機を回避しなければ、ならない。人類が絶滅するのは自業自得だとしても、多様な生物種を道ずれにすることは許されない。生態系を保存し、回復することこそ、人類が生き残る道だ。