「サスティナビリティ」考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

空母 いぶき ②

 先日書いた−空母「いぶき」の②です。
 今後、どんな展開になるのかわかりませんが、7巻まで読んだところで、感想を書いておきたいと思います。
 ストーリーとして、中国側は尖閣諸島の領有を認めさせるために、与那国島宮古島に軍を上陸させ島民を隔離します。
  そこで自衛隊側は、島の奪還と島民解放のため、上陸部隊や空てい部隊を送り込み戦闘する流れです。(最近号では尖閣諸島にも中国軍が上陸し、レーダーやミサイル配備を進め、ここでの戦闘が描かれています)
 作者の元々の発想が、空母と中心とした海戦、空戦、潜水艦戦の限定的戦争をメインにおいています。
 したがって現実の想定とはかなり違うようで、圧倒的に数で優位な中国国内の空軍機はでてきません。尖閣諸島与那国島は、中国空軍の台湾正面にあたり、本当の空戦になれば、空母「広東」だけの少数の航空機決戦では済まないと思います。そうなれば航空優勢自衛隊側が保つことはできないと思います。
 肝心の隣接した台湾の動き、米軍の動きも捨象されています。
 私の想像では、米軍のオフショア・コントロール戦略での自衛隊の動きに符号していると感じます。つまり米軍は、中国との本格的な戦争を避けるため、これまでのエアシーバトル戦略を転換し、洋上から離れ、日本の自衛隊が米軍の代理として、沖縄・南西諸島を戦場に闘うという想定です。
 オフショア・コントロール戦略の結論は、最終的に中国が勝利し、「日本に教訓を与えてやった」として終える想定です。
 米軍は核戦争にも発展させず、中国本土のインフラは攻撃せず、米資本が投下された産業は破壊させずに経済活動を行うというものです。
 南西諸島には現在、中国海軍を封じ込めるため、自衛隊の対艦ミサイル、地対空ミサイルが配備されています。これらへの自衛隊の基地建設、レーダー網設置も急ピッチです。
 これは特に、台湾有事の際などに、外洋に出ようとする公海上の中国海軍の艦船を、宮古島などから攻撃する狙いを持っています。
 日本への直接の攻撃なら自衛措置として必要です。しかし外洋に出ようとする艦船に攻撃を加える事は戦争行為です。旧ソ連の時代に、ソ連艦船が日本海から外洋に出ようとする時、日本が「3海峡封鎖」の動きをしようとしたことと同じです。米国は、いつも遠く離れ安泰です。それが同盟国に常備軍を配備し、相手国を攻撃できる米軍の前方展開戦略です。
 日本の自衛隊が公海上通過する中国艦船にミサイル攻撃を仕掛ける場合、中国側は宮古島などのレーダーサイトや地対艦ミサイル発射装置などに攻撃を加える事になるでしょう。
 そうなれば南西諸島島民の安全保障はありません。
 マンガで描かれている与那国島宮古島などへの中国側の上陸は、ありえないと思います。台湾有事の場合に中国軍が、台湾に上陸する部隊や装備はあると思いますが、米海兵隊ほどの本格的な上陸の装備や訓練はされていないと思います。米国のような本格的な上陸作戦を行ってきた国は、中国を含め聞いた事がありません。
 重大な事は、米国の安全保障と国益のために、米軍指揮下で日本の自衛隊が動かされる、その訓練をしている危険性です。今回の大矢野原での日米演習もしかりです。
 中国の危険性もあります。現状変更への動きが強引です。私の一番の懸念は、中国の国力、既に日本のGDPの2.5倍ほどあり、購買力平価では、米国を抜いて世界一です。やがて名目GDPでも米国を抜くでしょう。
 国力で大きく引きはなされる中国への対決色を日本側から煽り、現状変更として対艦ミサイルや部隊の配備など、巡行ミサイル・敵地攻撃力の確保などばかりやっていたらどうなるか?
 米国は昔から「アメリカンファースト」-国益優先ですから、いざとなったら、日本は米国から、はしごを外されかねません。
 この中国の動きを、アジア諸国と共に、覇権主義的な方向に進まないよう外交攻勢を強める事が必要になってくるでしょう。そのためには、中国の平和運動勢力とアジア諸国国民との共同を大きく広げる事が必要なってきます。中国の一党独裁は、その大きな障害です。