サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

台湾有事と日本の危機」⑨戦争準備

   台湾有事と日本の危機」(峯村健司著PHP新書)のつづきです。
 第一次、第二次と起こった台湾有事の時、中国が矛を治めざるを得なかったのは、米側が日本から空母を派遣し、中国をけん制したからだ。
 中国側は、経済力も軍事力も圧倒的に弱かったため、悔しい思いだっただろう。逆に米側は力がモノを言い満足だっただろう。
 だが、経済は拡散し、軍事技術も拡散する。いつものこと、軍拡競争の始まりだ。
 中国も米の真似をし、原子力ではないが3隻目の空母を配備し始めた。
 また、「空母キラー」ミサイルを配備し、米空母をハワイ以南へ押しとどめる力も身に着けた。
 著者は、これらに類する事を率直に書いている。また他の軍事論者が主張するウクライナ戦争と同じことが台湾有事でも起こるする脅しは言わず、台湾が独立国でなく国連加盟国でもないことを率直に指摘している。
 それでも結論は、だから楽観論に流される事なく台湾有事に備え、軍備拡張を主張する。

 著者は、台湾有事の際の「日本と自衛隊が抱える課題」を指摘する。
①「事態認定」で戸惑う政権ーとある。
 「重要影響事態」と認定し、米軍の後方支援をする。この時は、日本でのネット接続が不安定になったり、官庁や企業のHPが改ざんされ、水道、電気、交通などのインフラが中国のサイバー攻撃を受けマヒするという。海底ケーブルも切断されたり、警察署などが正体不明の集団で襲撃されたりする。その場合も日本政府の対応は遅く、「武力攻撃予測事態」の認定もできないとする。
 そんなことはないだろう。これは煽り以外のなにものでもない。
 2024年4月、岸田首相はバイデン大統領と会談し、自衛隊の「指揮統制」を米軍に委ねることを約束した。また、「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)も進めているので、判断は自動的に米軍しだいとなる。日本は自衛隊の参戦も停戦も米国しだいだ。
②国民保護
 開戦前夜、「~台湾側の敗北が濃厚になってきた。在日米軍基地や自衛隊の駐屯地・基地への攻撃を予想され事態はさらに緊迫化する」-この時に南西諸島から住民の九州への避難が進むかどうか、計画を心配する。
 戦争に至らないために何をすべきか? の観点は弱く、抑止力の向上・軍備拡大と、国民に覚悟を求めるまのばかりだ。

1971年10月25日に採択された第26回国際連合総会2758号決議「国際連合における中華人民共和国の合法的権利の回復」
ja.wikipedia.org

 武力での統一には反対だが、台湾が国家として承認されていない事実は知っておくべきこと。